海南にのれん再び 駿河屋オープン
昨年5月の経営破綻からことし3月に新会社を立ち上げて営業開始した、老舗和菓子メーカー「総本家駿河屋」(本社=和歌山市小倉、岡本良太社長)の新店舗が10日、海南市日方にオープン。破綻以前は直営の「海南東店」があり、再び同市にのれんが掛けられた。岡本社長(40)は「和歌山で頂くたくさんの応援に応えられる和菓子作りをしていきたい」と力を込める。
新店舗の海南店(敷地面積約936平方㍍、建物面積136平方㍍)はJR海南駅西出口から北に徒歩5分程度。すでに営業している県内2店舗は、既存の店を活用していたが、海南店は新たな場所に出店しての新規1号目となる。
これまで黒基調の内装が多かったが、駿河屋のシンボルカラー「鉄紺色」を基調に装い、カジュアル感を演出。店内にはガラス張りの調理スペースを設け、同社の看板商品「本ノ字饅頭」の実演販売や商品製造を行っていく。
また、贈答品用の商品が中心だったが、日頃から顧客自身でも和菓子を楽しんでもらおうと、ばら売りの商品を多くそろえている。
開店に合わせて新商品「金の本ノ字饅頭」、高級砂糖の和三盆でつくった「生プリン」「黒豆生プリン」「生ようかん」を発表した。
従来の本ノ字饅頭は饅頭の皮に米麹(こうじ)を使って酒の香りを出していたが、麹の発酵作用で翌日には皮が固くなり、賞味期限が短かった。新商品の金のノ字饅頭は饅頭の餡(あん)に酒粕を入れて酒の香りを引き立てており、皮の発酵作用をなくし賞味期限は7~10日間と長くなった。
酒粕は同市溝ノ口の酒造会社「平和酒造」が協力し、地域の和菓子が誕生した。
新商品のプリンは、いずれもグラニュー糖を使わず、まろやかで、すっきりした甘さが特徴の和三盆を使用。黒豆生プリンの黒豆は皮の軟らかい備中産を使用し、プリンの食感を損なわないように配慮。若い世代にも親しみやすい和菓子の開発を目指してきた。
新商品開発に当たり、重視したのは駿河屋の味を離れないこと。製造を休止していた「汁粉」「知草」といった商品12品も復活し、商品約50種類が並ぶ。
岡本社長は「和歌山の皆さまに支えられて海南店を出店することができました」と感謝。「調理場スペースではゆくゆく、和菓子の教室を開くことができればいいですね。若い世代にも手軽に和菓子に親しんでもらいたい」と展望を話した。
海南店(℡073・488・8835)は午前9時から午後6時まで営業。定休日なし(臨時休業あり)。