本紙単独インタビュー 民主党・岡田代表

 民主党の岡田克也代表(62)は11日、党県連大会への出席などのため和歌山市を訪れ、わかやま新報のインタビューに応じた。9月に成立した、集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法制について「憲法違反であり、憲法の平和主義、立憲主義が危機的状況にある」と述べ、アベノミクス新3本の矢についても安倍政権を厳しく批判。来夏の参院選に向けて対決姿勢を示した。

 ――安保法制への評価は。
 岡田 違憲の法案が成立したことは極めて遺憾だ。10本の法律を一本にまとめるなど非常に議論しにくい状況がつくり出されていた。協議によって合意点を見出すことができる部分もあったかもしれないが、違憲の法案と一本になっているから、賛成できるはずがない。もっと丁寧な中身のある議論が行われるべきだった。違憲部分については有識者もはっきり指摘しているし、国会でも(政府は)説明できていない。

 ――安保法制に対して国会前などで起こった大規模な反対運動をどう受け止めたか。
 岡田 普通の人たちが危機感を持って立ち上がった。それだけ政府のやったことはひどい。他方で、今まで政治と距離があった人たちが立ち上がったということは、新しい民主主義が始まるんじゃないかという期待感を持たせた。安保法制は成立したが、今後も大きな焦点であるので、(国会の)外と中で連動しながら戦っていきたい。
 ――県連代表の岸本周平衆院議員らが、党を解党し、自民党に代わり得る新たな政党の樹立に取り組むよう党執行部に要請したが、どう受け止めているか。
 岡田 党の現状に対する岸本さんらの危機感の表れだ。それはよく分かる。私も、党への国民の信頼は戻っていないと考えている。大事な時に党がまとまれず、党を出て行ったり、十分議論を尽くしたことに対して(所属議員が)あくまでも反対の投票をしたり、そういう姿が国民から見限られたという認識を共有することが大事だ。

 ――解党する考えはない?
 岡田 党代表が解党と言うのは適切ではない。解党するぐらいの気持ちで党改革をしなければいけないということだ。

 ――共産党が呼び掛けている「国民連合政府構想」への評価と、今後の野党間協力の在り方は。
 岡田 思い切った提案であり、共産党も変わらなければいけないと志位さん(同党委員長)も言っている。そのことは評価している。協議を続けていくことは確認したが、具体的にまだ話し合いはしていない。維新の党とは協議機関をつくって、政策、選挙について協議することもしている。

 ――安保法制が成立した今の最大の政治課題は何か。
 岡田 引き続き安保だ。憲法違反の話だから次元が違う。憲法の平和主義、立憲主義が揺らいでいる危機的状況にあり、国民にも深く認識されている。安保は(来夏の)参議院選挙でも大きな論点にしていく。それは多くの国民の望むところでもある。

 ――アベノミクス「新3本の矢」(強い経済、子育て支援、社会保障)への評価は。
 岡田 1回目の3本の矢を中途半端なまま店じまいして、新しい3本の矢を示したが、スローガンであって具体策を全く述べていない。上からの押し付けの目標値が示され、国民に出生率1・8まで子どもを産みなさい、という意味にも取れてしまう。
 国民一人ひとりの力を信じてその力を引き出し、邪魔な壁があれば取り除く、それが政治の役割と考えている。「一億総動員」みたいな、国が大きな目標を立て、スローガンをつくって号令をかければ、それが政治だと思っているのは全く間違っている。
 着眼点はあくまでも、子育てと働くことが両立できる社会をきちんとつくり上げて、満足感を持ちながら生活できるということであるべきだが、安倍さんの場合は、とにかく子どもの数が足りないと経済成長できないから子どもの数を増やせみたいな、着眼点が国民ではなく、全て経済になっている。「産めよ増やせよ」の戦前のスローガンと変わらない。

インタビューに答える岡田代表

インタビューに答える岡田代表