ミャンマーの子供支援 看護学生の樋口さん

ミャンマーの子どもたちの自立支援に奮闘する若い女性が、和歌山市にいる。県立医科大学看護学部3回生の樋口亜美さん(22)は、NGO団体「Child Needs Home」(CNH)の副理事長を務め、現地活動の中心的役割を担う。同国の貧困や医療、教育について知ってもらおうと、昨年秋から同市で月1度の交流会を開催。「『自分とは関係ない、遠い国の出来事』ではなく、私のフィルターを通してですが少しでも近く、つながりを感じてもらえたら」と熱い思いを抱く。

樋口さんは大阪府河内長野市出身。小さい頃から世界に興味を持ち、人の役に立ちたいと医療の道を志した。
大学1回生の夏には、ベトナム戦争時の米軍の枯れ葉剤によって結合双生児として生まれたグエン・ドクさんに同行し、孤児院などを回り、子どもたちに支援物資を届けるチャリティー活動に参加。海外活動への思いが一層強くなったという。

そんな時、愛知県豊田市の看護師・礒部陽子さんが代表を務めるCNHの活動を知り、メンバーになった。これまでに4度ミャンマーを訪れ、今月も訪問予定。春には長期滞在を予定している。

樋口さんが活動するのは、タイと国境を接するシャン州東部のチャイントン。HIV患者が急増し、教育や経済的な事情により避妊に対する知識が乏しいため、貧しい家庭でもたくさん子どもが生まれているという。

CNHは毎月1000円から3000円の寄付をしてもらう支援者を募り、片親や両親がいない貧困家庭の子どもたちの教育費を援助。学校教育を終えた子どもには職業訓練を行い、自立をサポートしており、現在は6歳から15歳までの12人を支援している。

また、地域の衛生面の向上にも力を入れ、樋口さんは現地のミャンマー人と共に、女性に月経の仕組みや避妊について知ってもらう保健教育指導などを行っている。

「世界はつながっている。生まれた所や肌の色が違うだけで『私たちには関係ない』と、誰も目を向けずにいたのでは、平和にはつながりません」と樋口さん。

忘れられない出来事がある。それは、ミャンマーで最初に出会った小学校1年生の女の子。父親が4人の子どもたちを育てていた。長女は中国に売られ、女の子は生まれたばかりの赤ちゃんの母親代わりをしており、樋口さんは「私がお姉ちゃんになってあげる」と約束。何度か足を運ぶうちに、表情の乏しかった女の子が少しずつ心を開き、笑顔を見せるようになったという。

「この子たちを他人だと思いたくない。子どもたちの人生に関わっている以上、きちんと向き合いたい」と決意は固い。将来の夢は、助産師となり、発展途上国で活躍することだ。

8日に交流会国際交流セで

和歌山で開くイベントでは、まずはミャンマーに興味を持ってもらおうと、気軽な雰囲気の中で、ミャンマーの料理を紹介したり、簡単なワークショップを盛り込む。

8日午後6時からは、同市手平の和歌山ビッグ愛内国際交流センターで交流会を開く。問い合わせは樋口さんにメール(childneedshome.ami@gmail.com)を。

「少しでも関心を寄せて」と樋口さん

「少しでも関心を寄せて」と樋口さん