災害医療の体制強化へ 海南・海草で訓練
大規模災害発生時に迅速な救助活動が行えるよう、関係機関が連携して医療体制の強化を目指す「災害医療救護訓練」が1月31日、海南保健所管内で行われた。同保健所と海南市、紀美野町が主催。行政や医療関係者ら16機関の合わせて約230人が訓練に取り組んだ。
訓練の想定は、同市で震度7、同町で震度6強の揺れの地震が発生し、最大8㍍の津波を観測。津波の影響で同保健所管内の病院は同町の野上厚生総合病院を除いて1~2階部分が浸水して受診できなくなる中、家屋倒壊による傷病者を救助するとの内容で行われた。
訓練の実施場所は市立大野小学校、町総合福祉センター、同病院、同保健所の4カ所。災害発生時に傷病者を手当する「医療救護所」を開設、運営する同小学校での訓練には約70人が参加した。
運動場には模擬倒壊家屋が設けられ、海南署員と市消防本部の消防士がチェーンソーなどの機具を使って家屋の下から傷病者を救出。校内に運び込まれ、海南医師会や県看護協会海南・海草支部のメンバーらが傷病者の重症度に応じて治療の優先順位を色で分ける「トリアージ」を進めた。
この他、保健師らは、運び込まれた傷病者の名前や症状をホワイトボードにまとめるなどの訓練も行った。
トリアージの後、傷病者を誘導、案内した保健師の平岩裕香さん(44)は「傷病者の家族を安心させるための言葉がとっさに出てこなかった」。救護所の責任者を務めた同市健康課の井内祥子さん(49)は「救護所の運営で各自がやならないといけないことが分かったと思います。課題を洗い出し、円滑に運営できるようにしたい」と話していた。