日本の財政を考える 和大付中で財務省授業

 財務省近畿財務局和歌山財務事務所による特別授業が2日、和歌山市吹上の和歌山大学付属中学校(矢野勝校長)で行われ、3年生約130人が同事務所の杉林雅史所長(58)から、日本の財政状況や持続可能な社会などについて学び、考えを深めた。

 財務省などによる財政教育プログラムの取り組み。財政について、生徒が将来に関わる問題として考え、自分の意見を持ってもらうことなどが目的で、昨年6月から中学生を対象に開かれており、県内は同校が初めての実施となった。

 特別授業で杉林所長は、税金をもとに社会保障などの行政活動を行う財政について、歳出と歳入を把握・管理してバランスを取るために予算案の作成などを行っている組織が財務省であることなどを説明。続いてDVDを上映し、平成26年度の一般会計予算を例に、約96兆円の歳出全体で最も大きいのは社会保障で、全体の約3割を占めていること、税収などの歳入は約50兆円のため、国は借金をして赤字が続いていることが説明された。

 講義の後、生徒は各グループに分かれて、26年度予算を基に財政改革を考えるシミュレーションゲーム「財務大臣になって財政改革を進めよう」を実施。タブレット端末を使いながら、生徒はグループ討議を進めた。財源確保の方法や国民の意見を聞くことなどのシミュレーションを重ね、社会保障を増やすか減らすかなどを選択しながら、財政の黒字化を目指した。

 杉林所長は「日本の財政の現状を知ってもらいたい。近い将来に生徒たちが直面する問題なので、今回の授業を考えるきっかけにしてほしい」、北浦侑弥君(15)は「あまり考えたことがない問題だったので、授業はとてもいい機会だった。国民一人ひとりが財政について考えないと、赤字から抜け出せないと感じた」と話していた。

グループ討議に取り組む生徒ら

グループ討議に取り組む生徒ら