原発ゼロを訴え 「希望の牧場」吉澤さん
原発問題を考える集会「フクシマを忘れない! 原発ゼロへ 和歌山アクション2016」(実行委員会主催)が13日、和歌山市の和歌山城西の丸広場で開かれ、事故発生から5年を迎える東京電力福島第一原発から14㌔の居住制限区域内で暮らし、被ばくした牛約330頭を飼育し続けている「希望の牧場・ふくしま」(福島県浪江町)代表の吉澤正巳さん(62)が福島の現状を語った。
吉澤さんは、原発周辺の牧場で多くの牛などが餓死したこと、被ばくを理由とする国からの殺処分の指示を多くの畜産家が泣く泣く受け入れたことを紹介。そうした状況の中、経済的な価値はなくなり、売れない牛を飼い続けている理由を「牛たちは放射能汚染の影響がどのように現れるかを知らせる生きた証拠。牧場は福島を語り継ぐメモリアルパークだ」と語った。
原発事故の1年後ごろから、希望の牧場の牛の皮膚には白い斑点が現れ、吉澤さんは国に対し、被ばくとの因果関係の有無を徹底調査する責任があると訴えているが、国の回答は因果関係は不明とする内容にとどまっているとし、「国は責任の有る、無しの議論となることを嫌がる」と批判した。
避難した浪江町の住民については、大半が帰れない、または帰ることを望んでいないのが現状だとし、「“さようなら浪江町”というのが僕たちの現実の姿。子どもたちが帰らない町に未来なんかあるわけがない」と痛切に話し、「原発の時代はもうだめ。行動によって道を開こう。行動によって国民の中に連帯をつくろう。残りの人生、そのために戦っていく」と訴えた。
集会には約600人が参加し、原発ゼロを求めるアピールの採択、和歌山城周辺でのデモ行進、被災地の様子を伝える展示などのブース企画が行われた。