異業種間で学び合う 歌舞伎会が記念講演
異業種交流会「歌舞伎会」(藤戸佐千世会長)は13日、100回目の定例会を記念する講演会を、和歌山市のモンティグレ(ダイワロイネットホテル和歌山)で開いた。講師は、同日、東京証券取引所マザーズ市場への新規上場が承認された㈱農業総合研究所(和歌山市黒田)の及川智正代表取締役兼CEO(40)と㈲ノオト(東京都品川区)の宮脇淳代表取締役(43)の2人。藤戸会長(37)がテーマを提案する形で意見を述べ、約160人が聴き入った。
宮脇さんは、企業が生活者に伝えたいことを形にするコンテンツ・メーカーで、トヨタ、アディダスなどを主要なクライアントとする。
及川さんは東京農業大学で農業経済学を学び、美浜町でキュウリ農家、大阪で八百屋を経験後、平成20年、ビジネスとして農産業を確立することを目指し、農業総研を設立した。
宮脇さんはリーマンショックで倒産の危機に直面した。税理士のアドバイスで業績好調の時に銀行から資金を借りていたことが功を奏し、ピンチを乗り切った経験から、資金力以上にさまざまな情報、選択肢を知っていることが重要だとし、「豊かさの基準は情報量である」と強調。及川さんは「資金がない時にはそれなりのアイデアが生まれるもの。時代に合ったバランス感覚が経営者に求められる」と応じた。
また、及川さんは「成功の対義語は失敗ではなくチャレンジしないこと」と述べ、60歳で定年退職した後は登山などの未経験のことに情熱を傾ける計画を披露。宮脇さんは、定年退職はせず、皆が「ちんまり」と働いている状況が望ましいと、対照的な意見を述べた。
和歌山の今後については、及川さんは「農業を良くしたら和歌山への人の流れが生まれる」、宮脇さんは「街の価値を高めるためにはデザインが重要となる」と提案していた。