湯浅なすブランド化へ 県が栽培マニュアル
県農業試験場は、江戸時代から湯浅町で栽培されてきた伝統野菜「湯浅なす」の高品質果実の多収栽培技術を開発し、販路拡大やブランド化を推進している。
湯浅なすは、実が丸く、水分量が少なく、調理後も形が崩れずに残りやすいことなどから、主に金山寺味噌の具材として用いられてきた。古くから多くの農家で栽培されていたが、近年は生産者が大幅に減少。平成20年ごろには1、2軒になり、栽培の存続が危ぶまれたが、復興の取り組みにより、現在は8人が生産しているという。
同試験場が開発した技術は、傷物や変形、着色不良を少なくし、大型で丸い果実を収穫する整枝・誘引の方法。1番花の下から発生する腋芽を早めに除去し、1株4本の主枝を、ひもで支柱につるして枝が垂れないようにすることなどをマニュアル化した。マニュアルの実践により、10~20%の収量の向上が期待できるという。
湯浅なすの一般の購入先は、地元の直売所やイオンモール和歌山など。湯浅なすカレーや、湯浅なすを容器にした肉詰めなどの料理も人気という。
同試験場の担当者は「県伝統の野菜なので、生産量を増やして販路拡大やブランド化を推進したい」と話している。