40万人参加の避難訓練 世界津波の日前に

昨年12月に国連で制定された「世界津波の日」を翌日に控えた4日、県内各地の学校や役所、事業所などで一斉に津波避難訓練が行われ、約40万人が参加した。県南方沖でマグニチュード8・7の巨大地震が発生したと想定し、近くの高台に集団で避難するなど、津波から命を守るための避難ルートや情報伝達の方法の確認などが入念に行われた。

午前10時に訓練の緊急地震速報が発令。和歌山市和歌浦西の市立和歌浦小学校では、各クラスで児童らが担任の教員の指示に従い、机の下に身を潜めた。揺れの収まりが校内放送で伝えられると、全校児童約260人は素早くライフジャケットを着用し、運動場に集合。全員の無事を確認した後、校舎の近くにある津子山の中腹まで避難した。

2年1組の担任を務める栗本貴行教諭(30)は「低学年ということもあり、命が失われかねないことを現実のこととして捉えるのは難しいですが、子どもたちは素早く行動してくれました」とひと安心の様子。訓練の前には、津波被害の写真を活用した啓発授業を行い、児童の意識を高める取り組みを進めていることも話した。

3年生の早﨑快君は「焦らず、素早く避難することができました」、川村章真君は「地震が来ても困らないように、日頃から食料を用意しておきたいと思う」と話していた。

海南市では、隣接する亀川幼・小・中学校と海南署が連携し、合同避難訓練を行い、児童生徒ら総勢約720人が同校南側の且来八幡神社へ避難した。

巨大地震発生後、大津波警報が発令された想定で実施。地震発生のアナウンスの後、児童生徒らは各運動場に1次避難し、人数を確認した上で速やかに高台の同神社に向かった。

中学3年は園児の手を引いての避難。亀川中3年の小池友香さんは「園児と歩幅や目線を合わせて安心させたい」、亀川小6年の津村優斗君は「先生の指示を聞き、落ち着いて行動したい」と災害に備えて気を引き締めていた。

訓練を終えると、亀川中グラウンドに集まり、同校の熊代秀至校長が講評。同署警備課の永濱靖彦課長は、実際の地震発生時には、障害物が道をふさいでいる可能性があることなどを話し、注意を呼び掛けた。

園児の手を引いて参道を歩く生徒ら(亀川地区)

園児の手を引いて参道を歩く生徒ら(亀川地区)