部落差別の解消と再犯防止 二つの議員立法が衆院可決

今日まで深く関わってきた二つの議員立法が先日、衆議院で同じ日に可決されました。「部落差別の解消の推進に関する法律」と「再犯の防止等の推進に関する法律」です。参議院での一日も早い可決、そして法案成立を心から期待します。

「部落差別の解消の推進に関する法律」は、二階先生を中心に政権交代前の与党時代から「人権擁護法案」に取り組んできた課題です。私自身も県議・市長時代から仲間とともに、地域改善対策特別措置法やこれに続く地対財特法終了後も依然として残る差別、特にいわゆるソフト面での差別解消に取り組んできただけに感無量です。今回は、門博文議員が事務局長を務める党の「部落問題に関する小委員会」で議論を重ねて法律案を作成し、共産党以外の賛成を得て議員提案されました。

法律は、①目的、②基本理念、③国及び地方公共団体の責務、④相談体制の充実、⑤教育及び啓発、⑥部落差別の実態にかかる調査、⑦施行期日からなっています。

全ての国民に基本的人権の享有を保障する日本国憲法の理念に則り、差別は許されないものとの認識の下に、部落差別が解消されることが重要です。この法律の成立により一日も早く、いわれなき差別に苦しめられる方々がいない社会の実現を願います。

次に「再犯の防止等の推進に関する法律」です。私が法務委員長当時、わが国の犯罪件数の6割が再犯者によるもので、刑務所への入所者に占める再入者の比率も6割という状況でした。そこで、再犯防止は国民の安心・安全な生活のために政治が取り組むべき喫緊の課題との認識の下、法務委員会視察の主要課題の一つに挙げ、米国におけるさまざまな取り組みを視察し、多くの示唆を受けました。そして視察参加議員が中心となって、少しでも状況を改善すべく活動しようと「超党派で再犯防止を進める議員連盟」を設立しました。

以後、杉良太郎・特別矯正監をはじめ多くの有識者から話をお伺いし、議論を重ね「シームレスに支援を行い、再犯を防止する体制の構築に向けて」と題する提言を政府に行いました。内容は、①矯正施設内で取り組むべき課題、②出所者等を社会全体で支える枠組みの構築、③再犯防止を進めるための人的・物的基盤整備、の三つを柱に20項目に及ぶものです。その後、自民党の刑務所出所者等就労支援強化特命委員会とも協力して、提言を元に法務省はじめ関係省庁とも連携し、予算の獲得など大きな成果を挙げているところです。

そのような中、さらに総合的かつ計画的に推進するため、再犯防止等に関する施策について基本理念を定め、国・地方公共団体の責務を明らかにし、施策の基本となる事項を定めることなどが必要との認識の下、本法案を作成しました。

法律は、①目的、②定義、③基本理念、④国等の責務、⑤連携、情報の提供等、⑥再犯防止啓発月間、⑦再犯防止推進計画、⑧地方再犯防止推進計画、⑨法制上の措置等、⑩年次報告、⑪基本的施策(再犯防止に向けた教育・職業訓練の充実等、社会における職業・住居の確保等、再犯防止推進の人的・物的基盤の整備、再犯防止施策推進に関する重要事項)、⑫施行期日等からなっています。

この法律の成立により、犯罪を犯した人たちの社会復帰が円滑に促進され再犯が防止されることは、当人は元より、広く国民が犯罪の被害を受けることを防ぎ、安全で安心して暮らせる社会の実現につながると確信しています。