名誉博士号の祝賀会 能楽師・松井彬さん
和歌山市の喜多流能楽師・松井彬さん(70)の、ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校からの名誉博士号授与と古希を祝う会が25日、同市七番丁のモンティグレ(ダイワロイネットホテル和歌山)で開かれた。仁坂吉伸知事や尾花正啓市長の他、海外の友人ら約130人が駆け付け、華やかに祝福。松井さんは「甘みや苦みのあるさまざまな時代を過ごしてきましたが、今後どのような渋みをつくっていけるのかが私の目標」と思いを新たにした。
松井さんは6歳で能を始め、13歳で喜多流宗家・喜多実氏の内弟子に。地元能楽の発展・普及に尽力し、海外でも多くの公演を重ねてきた。国際的な能楽の普及が評価され、このほど松井さんが講義を受け持つ同校から名誉博士号が授与された。
祝賀会のオープニングでは、松井さんの能舞と、チェロ奏者の水谷川優子さんの演奏がコラボレーション。この日のために編曲された「平城山(ならやま)」に乗せ、松井さんが、年老いた自らが若き日の燃えるような恋に思いをはせる物語を演じた。
軽快な太鼓と能管の演奏「獅子」(「石橋」より)に続き、発起人代表で、長年後援会「翔(かけり)の会」で支援してきた㈱オークワの大桑?嗣会長が「今回の授与は能楽界初の栄誉。日本はもとより、海外で多数の公演を重ねる松井さんを、皆さんと一緒にお祝いしたい」とあいさつ。
門下生たちから花束を受け取った松井さんは「禅の世界に『自らを光とし、教えを光として進め』という言葉があるように、これからの私の道は私が光を出し、教えの光で渋みをたずねていこうと思います」と決意。「皆さまの光があってこそ、明るく進んでいける。今後もご指導、ご鞭撻をお願いいたします」と感謝を述べた。