音色は海を超えて 西陽子さん、筝曲コンサート
和歌山市出身の筝曲家、西陽子さんがことしもブラジルを訪れ、日本の伝統音楽の魅力を伝える活動の一環として筝曲コンサートを開催。ブラジルから西陽子さんのリポートです。
私の8回目のブラジル訪問が終わりました。2009年から毎年、ブラジル日本研究者協会の一員としてブラジルのサンパウロや各地を訪れ活動を行っています。ブラジル日本研究者協会の会長は、サンパウロ大学の渡部イッセイ名誉教授(お父様は和歌山県出身)です。
ことしは、過去に東京、サンパウロでコラボレーションしたことのあるブラジル人音楽家、シェーン・リベイロさんの招きにより、11月17日、サンパウロ市内でコンサートを開きました。
ブラジルでのコンサートでは、私は地元のミュージシャンと積極的に交流し共演しています。今回、尺八・フルート奏者のシェーンさんをはじめ4人のブラジル人ミュージシャンと共演しました。
異文化の音楽環境で培った感性や表現力を組み合わせ、観客を魅了させる音楽をつくりたいという思いは、お互い同じです。さらに顔の色も言葉も違うのに、リハーサルでは昔から知り合いであったかのように息が合ってしまうというのは、海外でいつも感じる音楽ならではの不思議な体験です。
今回のコンサートは、日系人の方々だけでなく、地元のブラジル人も対象ですので、選曲もブラジルにあったものを選びました。ラストに選んだブラジル曲の〝TICOTICO〟は、お琴とフルート、打楽器がうまく打ち解け合い、哀愁感ある音色がつくり出せたと感じています。満員の会場全体が陽気な雰囲気になり、皆身を乗り出して楽しんでくれました。
音楽ってすてきです。国境や人種を超え、一緒に心を弾ませることができる。人種のるつぼであるブラジルで、そう強く感じました。
(箏曲家・西陽子/ブラジル)