家康紀行①愛知県岡崎市「龍城神社」

徳川家康の生誕地、愛知県岡崎市の岡崎城を紹介したい。

岡崎城が現在の地に築城されたのは享禄4年(1531)、家康の祖父にあたる松平清康によるものだが、15世紀前半にここから少し離れた明大寺という地に西郷頼嗣の居城として築城されたのが岡崎城の起源とされる。

岡崎城は別名を「龍城」という。それは西郷氏による築城の際に起きた出来事がきっかけ。岡崎城が落成した日、気高い乙女が天守に現れ「私はここに住む龍神である。私を鎮守の神としてあがめ祭ってくれるならば、永遠にこの城を守ろう」と話すと城中の井戸水が噴出し、天高くへ去ったという。この不思議な出来事を西郷氏は真摯に受け入れ、天守の楼上に龍神を祭り、城を「龍ヶ城」、井戸を「龍の井」としてたたえたという。

龍神は天文11年(1542)12月26日、家康誕生の際にも、天守の楼上に金色のうろこをした龍として現れたと伝えられている。

家康没後は、家康を祭神とした東照宮を祭る「龍城(たつき)神社」が造られ、後に岡崎城を治めた本多忠勝と合祀。開運の神として市民に厚く崇拝されている。

岡崎城は廃藩置県の後、愛知県東部を管轄とする額田県の県庁が置かれたが、県の統合により県庁が名古屋市に移転。明治6年(1873)廃城令により建物は解体されたが、岡崎の象徴である天守閣が無いのはしのびないという市民の要望から、昭和34年に天守閣を復元。現在も自然豊かな岡崎公園のシンボルとして岡崎市民の憩いの場となっている。

岡崎城はJR岡崎駅から名鉄バス「殿橋」下車徒歩約5分。名鉄東岡崎駅から徒歩約15分。(次田尚弘/岡崎市)

家康公を祭る「龍城神社」。奥に岡崎城を望む。

家康公を祭る「龍城神社」。奥に岡崎城を望む。