面会交流の課題学ぶ 子どもの権利シンポ
離婚件数が増加する社会情勢の中、離婚後の子どもとの面会交流の権利や難しさについて考えるシンポジウム「実りある面会交流~子どもの健やかな成長のために~」が21日、和歌山市小松原通の県民文化会館で開かれ、面会交流のトラブルなどについて専門の法律家らが解説した。
和歌山弁護士会が主催し、調停委員や弁護士、一般市民ら約80人が参加した。
講演した大阪弁護士会子どもの権利委員会所属の莚井(むしろい)順子弁護士は、面会交流が困難になるケースとして、子どもがさまざまな事情で、親権などを持っていない非監護親との面会を拒否する事例を紹介。「アクションを起こさなければ子どもの気持ちは変わらないので、『子どもが落ち着くまでしばらく様子を見よう』というのは避けるべき」と述べた一方で、「面会を強行すれば子どもの利益を損なう結果にならないか、という視点は常に意識してほしい」と呼び掛けた。
また、子どもの成長には、父親、母親との交流があることが重要とした上で、「子どもを相手側に会わせないようにすると、後々子どもに大きな傷を付けることになる」と述べ、離婚後も双方ができる限り歩み寄る必要性を訴えた。
その後のパネルディスカッションでは、和歌山弁護士会子どもの権利委員会委員長の沖本易子弁護士をコーディネーターに、莚井弁護士、面会交流を支援している公益社団法人家庭問題情報センター大阪ファミリー相談室の武政司郎さん、県子ども・女性・障害者相談センター子ども診療室児童精神科医の松岡円さんがパネリストとなり、意見交換。面会交流がスムーズにいかなかった場合の仲介サポートの紹介や、子どもへの精神的支援などについてそれぞれの立場から議論を深めた。