予算委審議の攻防の裏側 与党筆頭理事の責務に奔走
1月20日に国会が開会して以来、平成28年度補正予算、引き続いて平成29年度予算案の審議に、予算委員会の運営責任者である与党筆頭理事としてかかりきりになってきましたが、ようやく27日に衆議院を通過することになりました。
他の委員会の筆頭理事は何度か経験していますが、予算委員会の筆頭理事は大きく異なります。まず大変な長丁場であり、連日のように野党筆頭の長妻昭氏と日程などの協議を行いながら、同時並行で必要な審議を行います。さらに、本会議や他の委員会など全体の国会運営にかかわるだけに、自民党の国会対策委員会とも連日協議しながら、年度内の予算案成立を目指していきます。
この一カ月の間にはいくつか山場がありました。
予算委員会では、まず「基本的質疑」が総理及び全閣僚出席の下、テレビ中継で行われます。これは例年3日行われ、うち2日がテレビ中継です。次に「一般質疑」が行われ、質問者の内容に応じて総理以外の大臣が出席します。テレビ中継はありません。そして「集中審議」があります。これは、審議を通じてさらに議論を深める必要があるときに開かれるもので、総理及び担当大臣が出席しテレビ中継されます。
野党側は、何とかこの「集中審議」を数多く開催し、テレビの前で国民にアピールしようとするのですが、朝9時から17時まで昼食時以外休みなく質疑が行われることは、準備や一日中着席していることの負担を考えると、想像以上にきついというのが実感です。ちなみに、各国首相の議会出席日数はおおむね日本の89日に対し、イギリス36日、フランス12日、ドイツ11日だそうです。総理の負担を考えれば、見直していくべきだと思います。
このようなことから、集中審議を何をテーマに何回行うかの攻防が、一つの山場です。今回は、7日、14日、20日、24日と行いましたが、特に7日に続いての8日か9日にも集中審議をという要求が強くありました。しかし、10日のトランプ大統領との初の首脳会談のための訪米を控えて総理の丸一日の拘束は準備や身体的負担から容赦願いたいと要求を断り、一般質疑として開催しました。実際に新聞の総理の動静を見ても、両日ともに打ち合わせがびっしり掲載されていました。日米首脳会談は世界が注目しており、十分な準備と万全な体調で臨んでいただきたいと思っていただけにホッとした次第です。
中盤から終盤にかけては、地方公聴会と中央公聴会の設定が大きな山場です。特に中央公聴会は、採決の目安になることから、もっとも大きな山場となります。この設定には質問時間、特に野党側の質問がどの程度確保されたかが一つの目安になります。そのため、年度内の採決を目指そうとすると、どうしても与党の質問時間を削って野党に回さざるを得ません。
当初、冒頭の基本的質疑で茂木政調会長に続き、私も質問を行う予定でした。しかし、野党との交渉でどうしても与党側の質問時間を確保できず、委員会運営に責任を持ち質問者決定の最終責任者でもある筆頭理事たる私自身の質問をやめて他の議員に譲った次第です。質問やテレビ向けのパネルなどの資料も準備していましたが、幻の質問となり残念です。
よく皆さんから、なぜ与党議員はもっと質問をしないのかと尋ねられますが、以上のような事情もあることをご理解いただきたいと思います。
いずれにしろ、筆頭理事の役目をひとまず無事に果たせ、安堵しています。