143年の歴史胸に閉校式 統合の雄湊小
県内初の小中一貫校、和歌山市立伏虎義務教育学校の開校に伴い、3月で閉校となる雄湊小学校(東坂ノ上丁、川本美紀校長)で2月28日、閉校式が行われた。在校生や卒業生、地域住民ら約500人が、戦禍を乗り越え143年にわたり地域を見守ってきた学校の歴史を振り返った。
同校は明治6年、湊紺屋町に、雄(おの)小学校として創立。博物学者・南方熊楠や、パナソニックの創業者・松下幸之助が通ったことでも知られる。
昭和20年には和歌山大空襲により校舎が焼失。翌年、かつて分校だった湊南(そうなん)国民学校と雄国民学校が合併し、雄湊国民学校に。同22年、現在地に新校舎を造り開校した。児童数は昭和34年の1440人をピークに年々減少し、現在は約7分の1になっている。
閉校式で川本校長は「多くの人に愛され、親しまれてきた地域の学校がなくなるのは残念で寂しい。38年間の教員生活のうち12年間をこの小学校で過ごし、閉校の年に校長を務められることに運命を感じます。皆さん、春からは新しい時代を切り開く伏虎義務教育学校で頑張ってください」とあいさつ。
学校の歴史をまとめた映像の紹介では、思い出の写真がスクリーンに映し出された。児童から出席した地域の人へのインタビューもあり、「宿題は多かったですか」「クラスは何組ありましたか」など、マイクを向けて質問した。
式典に続き、全児童約220人がステージで歌や合奏を披露。「雄湊小学校を忘れない」「いつまでも僕たち、私たちの雄湊小学校」などと元気よく声をそろえて発表した。
同校卒業生で、交通指導員として子どもたちの見守り活動をする同市上野町の柳瀬芳昭さん(69)は「古い写真に、あらためて歴史と伝統を感じました。学校がなくなるのは寂しいですが、子どもたちがいなくなるわけではありません。これからも何らかの形で関わっていきたいですね」と惜しんでいた。