新県消防学校が竣工 自然災害訓練施設も
新しい県消防学校が和歌山市のコスモパーク加太内に完成し、21日、竣工式が行われた。同校は同市冬野に昭和52年に開校し、施設の老朽化や多様化する災害に対応するため、平成24年度から移転、新築の事業が進められてきた。
新校舎は、用地面積4万5687平方㍍に、水難救助訓練用プールや、山岳救助、消火訓練施設を備えた高さ32㍍の高層訓練棟など旧校にあった施設を拡充したことに加え、全国の消防学校で初めて自然災害対応訓練施設が設置された。
同施設は、日本大学理工学部土木工学科の関文夫教授と建築学科の宮里直也准教授が監修。鉄製のマルチユニットを組み合わせ、さまざまなパターンの災害現場を表現して救助訓練ができる倒壊家屋訓練施設や、暴風雨を発生させ、浸水車両や家屋からの救助訓練が行える水濠(すいごう)訓練場などを備え、実践的に訓練が行える。
関教授によると、台風による水害と土砂災害、南海トラフ地震による家屋倒壊など和歌山で起こる可能性の高い災害を中心に訓練できるようにしたという。
また、土砂災害の現場で土砂を除去する技術を向上するため、重機の使い方も練習できる土砂災害訓練場や、コンクリートを破壊して救助する装置なども設置し、消防職団員の総合的な現場対応力の向上を図る。
学生の宿泊棟には女性専用エリアを完備。ピンクの扉で仕切られた先には、6部屋の自習室やユニットバスなどの設備が充実している。
竣工式には県内各消防本部の消防長をはじめ約200人が出席した。仁坂吉伸県知事は「県の安全を守る施設として、防災レベルが上がることを期待したい」と式辞を述べ、テープカットを行った。
新校は4月から使用される。