祖母と孫の初2人展 辻本さん米寿記念に

紀の川市打田の辻本志津子さん(88)と孫の辻本晋吾さん(32)の、写真と陶芸の2人展が5月3日から8日まで、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国2階ギャラリー龍門で開かれる。ともに個展の開催は初めてで、志津子さんの米寿を記念した展覧会。2人は「つたない作品ばかりで、『まだまだこれから』という思いですが、皆さんにご覧いただけるとうれしいです。次のステップへ、新しいスタートが切れるような展覧会になれば」と開催を心待ちにしている。

志津子さんが写真を始めたのは60歳の時。写真好きだった夫の力(つとむ)さんの影響で、写真家の坂田稔さんや大北光男さんに写真を習うようになった。 スナップを得意とし、県展や和歌山市展など数々の公募展で入選。昨年は東京写真研究会の写真展に、祭りでリラックスした巫女(みこ)の足元を写した「出番待ち」を出品し、大阪市教育委員長賞に選ばれている。

フィルム写真にこだわり、現在は坂田さんが講師を務める、さわやかフォトクラブに所属。今展では、公募展での入選・入賞作30点を展示。当時新聞にも掲載され大きな話題になった、根来寺の、カモの母親代わりをするネコとひなの仲むつまじいショットも並ぶ。

志津子さんは「写真は、元気のもと。米寿の節目に孫と展覧会ができるなんて夢にも思わず、この上ない喜びです」。

ここ数年は室内での撮影が中心。ガラスを使い、光を捉えた前衛的な表現に挑戦しており「レンズをのぞいたら、見とれてしまうほどきれいなんですよ」とにっこり。

一方、小さい頃からものづくりが好きだったという晋吾さん。かつて医療関係の大学に通いながらも、自分には向いていないのではないかという違和感を覚える中で出合ったのが陶芸だったという。紀美野町の八幡工房に通い「作陶することに今までにない喜びを感じ、『これだ』と思った。自由に表現できることが何より楽しい」と話す。

魚を題材にした独創的な作品は県展で入選。同工房の井澤正憲さん(45)も「テーマをしっかりと持ち、集中して熱心に取り組む生徒。焼き物でどんな表現ができるか土と格闘し、お互いにいい刺激を受けています」と話す。現在は同工房で創作しながら、京都造形芸術大学通信教育部の陶芸コースで学んでいる。

今回展示するオブジェのテーマは、和歌山弁で「あの人たち」などを意味する「テキラ」。あぐらを組んだり、本を読んだりする人の姿が何ともユーモラスで、にぎやかな会話が聞こえてきそうな作品たち。晋吾さんは「今作っているものを少しずつ変化させながら、新しい表現に取り組んでいきたい」と話している。

午前10時から午後5時(最終日は3時)まで。

2人展を開く辻本志津子さん㊨と晋吾さん

2人展を開く辻本志津子さん㊨と晋吾さん