ギニアと日本に恩返し サンコンさん講演
幸せな人生を生きるための「気づき」を得る機会をつくろうと、神路原神社(和歌山県和歌山市西坂ノ上丁)主催の「雲上会―こころ―」が15日、和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれ、タレントで元ギニアの外交官、オスマン・ユーラ・サンコンさん(68)が講演し、祖国で続けている医療支援や日本への感謝の思いを語った。
雲上会は、心が置き去りにされがちな時代にあって、心の大切さを考え、学ぶ場にしようと、神社外に会場を設け、各界の著名人を招いて開催しており、今回で8回目。信徒や一般を含め約250人が参加した。
サンコンさんは、ギニア大使館設立のため昭和47年に一等書記官として来日。日本人にギニアやアフリカのことを知ってもらおうと「笑っていいとも」などのテレビ番組に出演し、お茶の間の人気者になった。両国の友好への貢献をたたえ、平成25年には外務大臣表彰、今春の叙勲で旭日双光章を受章している。
22人きょうだいの12番目に生まれたサンコンさんは、子どもの頃にサッカーの試合でけがをし、右足が曲がった状態でギプスをされたため現在も障害が残っている。「自分に障害があるから、その痛みが分かり、元気に生き、学べるありがたさを知っている。だから恩返しをしたい」と話した。
アフリカの人々の平均寿命は54歳で、生れてきた子の45%が育つことなく亡くなっていると紹介。日本の医療関係者の協力を受け、祖国で人工透析の支援など命を救う活動に取り組んでおり、「日本の医療は本当に素晴らしい」と感謝の思いを語った。
日本で誰かの家に行ったときは仏壇を探して先祖にあいさつし、お盆には友人と一緒に墓参りに出掛けるなど、日本の習慣を実行している生活ぶりも話し、「年賀状や暑中見舞いも良い習慣。日本に来ていろいろな心遣いを学んだ。本当に感謝している」と笑顔を見せた。
雲上会ではこの他、神路原神社教会長の田中光吉さんの講話、信徒による体験談、ピアノ演奏や歌があり、参加者は聴き入っていた。