和歌山市で住宅浸水483件 台風21号被害

 台風21号による本紙エリアの被害の詳細が明らかになってきた。和歌山県や和歌山市によると、住宅被害(25日午後3時現在)は同市の名草や岡崎、西山東、東山東、紀伊地区などで床上浸水335軒、床下浸水148軒。海南市で床上30軒、紀の川市で床上118軒、床下60軒、紀美野町で床上2軒となっている。

 和歌山市内の河川氾濫による家屋の浸水(24日午後5時現在)は、和田川流域の前代川や永山川など床上119カ所、床下28カ所。宮前や宮、岡崎、名草、西脇、木本、貴志、楠見、有功地区で道路の冠水があった。海南市では日方川の護岸が崩壊し、片側通行止めの規制中。

 和歌山市伊太祈曽や東山東など4カ所で、路肩の決壊やのり面の崩落による土砂流出の被害があったが、すでに復旧している。

 同市大河内ではのり面の崩落により、道路(幅約4㍍)が長さ約30㍍にわたり陥没。26日正午現在通行止めとなっており、大池方面へは県道和歌山橋本線への迂回が必要となっている。

 また、市内の紀の川左岸高水敷(南側)の紀の川緑地(第2・3・4・5・7・9各緑地)が増水により冠水。フェンスや日覆いの流失や破損、土砂などの堆積があり、使用できなくなっている。市やボランティア有志が流木やヘドロの撤去などを進めているが、復旧のめどは立っていない。

南海本線の不通続く 尾花市長が復旧要望

 大雨により大阪府泉南市、阪南市の境界を流れる男里川に架かる鉄橋で橋脚が傾き、南海本線の樽井―尾崎間は不通が続いている。尾花正啓和歌山市長は26日の定例会見で「市民生活に不便を来している。単線でもよいので早く運行可能にしてほしい」と述べ、南海電鉄への早期復旧の要望を、来週には自ら直接行う考えを示した。

 南海電鉄によると、橋脚の復旧、運行再開の見通しは全く立っていない。

 また、市内の浸水被害について尾花市長は「紀の川や和田川の水位が高く、十分に排水できなかったのではないか。潮位が高かったのも影響したと思う」との見解を示し、復旧を急ぐとともに、国に対して対策を要望するとした。