家康紀行(42)駕籠をイメージ、久能山へ
前号では、駿河湾を望み豊かな静岡を感じられる景勝地・日本平を取り上げた。日本平は標高307㍍の丘陵地に位置し、南側には徳川家康の遺命により埋葬された久能山東照宮を山腹に持つ久能山(標高216㍍)がある。今週は日本平と久能山を結ぶロープウェイに乗り、久能山東照宮を目指したい。
日本平ロープウェイは清水区草薙の日本平駅と駿河区根古屋の久能山駅間の約1㌔を5分で結ぶ。昭和32年に開業し平成19年からは開業50周年を記念し、ロープウェイ2機に駕籠をイメージしたラッピングが施され、1機は「あおい号」として殿様を、もう1機は「たちばな号」として姫様をイメージ。
筆者が訪れたのは5月下旬。眼下の新緑が美しく、久能山の向こうには青々とし雄大な駿河湾を望む。55人乗りの車両には大勢の客が乗り東照宮を目指していた。東照宮を案内する女性車掌によるマイクパフォーマンスに聞き入りながら、間もなくして久能山駅に到着する。
久能山にはロープウェイ以外に徒歩で登ることもできる。山の南側(海側)に登山口(久能山下)があり、久能山下から東照宮まで1159の石段。健脚な方であれば20分ほどで登れるという。
かつて久能山は要害であるといわれ、永禄11年(1568)武田信玄により山上に城塞が築かれ「久能城」と称されたところ。元和2年(1616)家康死去の後は久能城を廃止、東照宮が建てられ今日に至っている。久能山の歴史や東照宮については、次号以降で詳しく紹介していきたい。
(次田尚弘/静岡市)