山名さん、島本さん受賞 大桑文化奨励賞
優れた文化活動に取り組む人に贈られる公益財団法人大桑教育文化振興財団の平成29年度大桑文化奨励賞に、鍵盤楽器の研究者で和歌山大学教授の山名敏之さん(53)=大阪府岬町=と、漆芸家で和歌山市出身の島本恵未さん(29)=京都市=が決まった。表彰式は21日午前10時から、和歌山市のホテルアバローム紀の国で行われる。
山名さんは福島県いわき市出身。東京藝術大学ピアノ専攻を卒業後、オランダ・スウェーリンク音楽院ピアノ専攻をソリスト・ディプロマを得て卒業。平成20年から和歌山大学教授を務める。
鍵盤楽器の変遷とピアノ演奏の研究の第一人者で、クラヴィコードやチェンバロ、フォルテピアノから現在のピアノへの発展の過程で楽曲や演奏法がどのように変化してきたかを研究。後進を指導し県の音楽文化振興に貢献している。
演奏家としても活躍し、ハイドンの全鍵盤独奏曲の演奏と研究をCDにまとめ、バッハ、シューベルトの作品演奏会シリーズなどを展開している。
島本さんは和歌山信愛女子短期大学付属高校(現和歌山信愛高校)、京都精華大学日本画専攻を卒業。漆芸家の村田好謙氏に師事し、平成26年に独立して漆芸工房「表望堂」を立ち上げた。
各展示会や催事などに出品を続け、同年のうるおい漆展で京都府知事賞、27年の京ものユースコンペティションでグランプリなど数々の受賞歴がある。
漆の技法を研究し、寺社の依頼で古くなった屋根飾りや仏壇の文様の描き直し、床に漆を施すなどの修復の仕事を手掛け、和歌山市加太の国登録有形文化財・称念寺では、欄間を修復した。減少する若手職人の育成にも力を注いでいる。
文化奨励賞の他、本年度は、無形民俗文化財保持団体援助に那智の扇祭り保存会(那智勝浦町)と泣き相撲保存会(海南市下津町)、文化活動援助に混声合唱団「アンサンブル・ミカニエ」、和歌山フラメンコ協会、和歌山ユネスコ連絡協議会が選ばれた。
同財団は㈱オークワの創立者・大桑勇が平成5年に設立。毎年、大学生への奨学金給付や高校スポーツ選手奨学金、市町村対抗ジュニア駅伝競走大会援助、学校図書の寄贈など、文化やスポーツ、教育活動に援助を続けている。本年度の援助額は総額3092万円に上る。