災害に泣く中小企業を減らす 経産省で支援、強靭化を推進

 昨年8月3日より経済産業大臣を務めてきましたが、今年8月3日の内閣改造で続投、さらに11月1日の第4次安倍内閣の発足に伴い再度経産大臣に任命されました。このような重要ポストに再任されたことを重く受け止め、引き続きグローバルな視点に立って、現場主義、実行・実現を重視する姿勢で職務に邁進してまいります。
 昨年の就任以来、通商交渉やエネルギー権益確保のための海外出張は23回。国内も北は北海道から南は鹿児島まで飛び回りました。第4次産業革命への日本としての対応方針策定や、下請け取引適正化、事業承継問題をはじめとする中小企業対策、エネルギー基本計画の検討など、国の産業政策の根幹に関わる重要テーマに正面から取り組んできました。これらの仕事をしっかり継続し、成長戦略を推し進め、和歌山のような地方でもアベノミクスの成果を実感してもらえるように取り組んでいきたいと思います。
 経産大臣として特に痛感していることは、災害に対して中小・小規模事業者(以下中小企業)があまりにも脆弱であるということです。最近でも熊本地震、九州北部豪雨、台風21号などで甚大な被害が発生していますが、その度に中小企業が被災し、事業再開に塗炭の苦しみを味わっています。
 先月の台風21号は和歌山にも被害をもたらしました。私自身大きな被害が出た那智勝浦町、新宮市、海南市、紀の川市に赴き、被災された中小企業の方々のお話を直接伺いました。なけなしの資金で購入した機械が水に浸かって嘆き悲しんでおられる姿には心が痛みました。直ちに中小企業庁と近畿経済産業局に対して、できる限りの支援を行うことと、被災した中小企業1社1社に対応する担当者を決めて、きめ細やかなオーダーメイド型の支援を行うことを指示しました。
 こういう事後的対処だけではなく、抜本的な対策が必要です。今回視察した中では、川の付近に立地していて、数年に一度は水害にあっている中小企業がありました。こういう危険度の高い場所に立地する中小企業は安全な高台に移転を推進する必要があります。あるいは急に浸水してきた時に、直ちに商品や資材を高い場所に上げて被害を最小化するためのリフト等の災害対応機器を導入してもらう必要もあります。災害に対する保険の仕組みも充実させなければなりません。こういった取り組みを推進する上で国としてどのような支援ができるか、早速省内で検討を始めてもらっています。災害に対する中小企業の強靭化をしっかりと推進していきたいと思います。
 法制度の検討も重要です。現在、被災企業への特例融資や補助金については激甚災害法や災害救助法で被災エリアに指定されるかどうかで大きな差が出てくるのが実情です。しかし、これらの法律は国土の復興や人命救助を目的としているものであり、必ずしも中小企業の被害実態とマッチしないことも多くあります。この点も再検討し、被害にあった中小企業の実態に合わせた支援措置が取れるよう、経産省内で検討を始めています。
 経産大臣の仕事は本当に多岐にわたりますが、災害被害に泣く中小企業を少しでも減らすことができるよう、中小企業の強靭化にしっかり取り組んでまいります。