県産柿の米輸出12月開始へ JAら意気込み

日本産柿の米国への輸出が10月に解禁されたことに伴い、全国一の生産量を誇る県産柿が12月中旬から米国市場に進出する。米国の消費者の反応が注目され、県内農家の所得向上などにも期待が高まる。輸出を推進する和歌山県と県内JA、日本貿易振興機構(JETRO)大阪本部の関係者らは28日、県庁で記者会見し、競合相手となる海外産と県産の違いなどを説明し、意気込みを語った。

国産柿の対米輸出は、日本政府が長年にわたり米国に受け入れを要請。輸入による病害虫の侵入を警戒する米国は慎重な姿勢を示してきたが、ようやく交渉がまとまり、10月12日に解禁された。県産柿は12月18日に米国へ初出荷される。

会見で原康雄県農林水産部長は、米国への輸出で先行するスペイン産柿について、形状が細長く小ぶりであることを挙げ、「県産柿は大きくて表面に傷がなく、健康への機能性も高い。品質が良いので少々価格が高くても売れるはずだ」と自信を見せた。

スペイン産の市場がニューヨークなどの東海岸に集中していることから、西海岸に位置し、柿になじみのあるアジア系住民が多いカリフォルニア州を重点市場と位置付ける。原部長によると、同州では地元産の柿も流通しており、価格は県産の方が1㌔当たり1・5~2倍ほど高いが、県産は旬の時期が同州より約1カ月早い上、現地産は種のある「富有柿」が主流なので、県産は種なしの「刀根早生」を投入することですみ分けは可能としている。

本年度の輸出は収穫時期の関係から富有柿となり、数量は約0・8㌧の予定だが、将来的には年間1000㌧を目指すとしている。

同州での県産柿PRに向け、12月5日にはロサンゼルスの日本総領事公邸で開かれる、各国政府や日系団体の関係者対象のレセプションで輸出開始を紹介する。来年1月には日本産食材を扱う飲食店で県産柿の料理を提供し、日系のスーパーマーケットで9日間にわたり店頭販売、プロモーションを行う。

JA紀の里の松浦克仁代表理事専務は「生産者の所得向上の取り組みの一つ。輸出によって成果が出ることを期待している」、JA紀北かわかみの宮崎卓郎代表理事組合長は「全国のトップを切って輸出できる。ぜひ和歌山の柿を多くの人に食べてほしい」と話していた。

県産柿を手に輸出の拡大を目指す原部長㊨とJA関係者ら

県産柿を手に輸出の拡大を目指す原部長㊨とJA関係者ら