指定管理者候補にCCC 新市民図書館

 和歌山県和歌山市は11月30日、南海和歌山市駅前に移転予定の新市民図書館の指定管理者候補に、レンタルDVD・書籍販売大手のTSUTAYA(ツタヤ)を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱(CCC)を選んだ。CCCは全国4カ所の図書館を運営しており、中核市では初めて。12月定例市議会の議決により正式に決定。選定されれば、県内の公立図書館では初の民間運営の図書館となる。

 新市民図書館は平成31年10月に開館予定。指定管理期間は供用開始日から36年3月31日まで。

 指定管理者の公募にはCCCと「図書館流通センター」の2社から応募があった。11月24日に提案内容の公開プレゼンテーションがあり、5人の選定委員が空間イメージや提案価格などを審査。優れた空間設計、カフェや子育てスペースの充実など独自のニーズ調査に基づく提案が、市駅前の再開発の活性化につながると総合的に評価された。

 市によると新図書館は4階建て。CCCの提案では、1階は書籍や文具の販売も行い、カフェ「スターバックス」を併設。地元の物産販売やイベントスペースを設ける。商業施設と連結する2階は、日々の生活充実の場として「文学を旅する」「健康ごはん」など独自の蔵書分類により、さまざまなライフスタイルを提案。3階は学習スペース、移民資料室を確保する。4階は子どものスペースで、児童書や遊び場を配置。屋上は市民の憩いの場としてテラス席や菜園を設ける。

 資料と経験が蓄積された移民資料室を維持し、保存活用のための専任職員を配置する提案も評価につながったという。

 CCCでは指定管理料に3億3375万円を設定。現在45万冊の蔵書数を60万冊に充実させる。現在年間約30万人の利用者は100万人とする目標を掲げており、市では「20代の通勤者や中高校生、大学生など、これまで図書館の利用率が低かった若年層へのアプローチが期待できる」としている。

 選書に関しては、適正かどうか市教委でチェックするという。市では「今後も市民の皆さんの意見を聞く機会を持ち、より一層利用しやすく愛される図書館を一緒につくっていきたい」としている。

新市民図書館のイメージ写真(CCC提供)

新市民図書館のイメージ写真(CCC提供)