和歌山線に新型車両 車載型IC改札機も
JR西日本和歌山支社は7日、和歌山線・桜井線に2019年春から新型車両227系を導入すると発表した。車両の異常が発生した場合に自動で停車する装置の設置や案内放送の多言語化に加え、車内でICカードが使える「車載型IC改札機」をJR西日本の関西エリアで初めて設置する。伊藤義彦支社長は同日の記者会見で「車両は鉄道サービスの基本。車内環境と安全性が大きく向上すると思う」と期待感を示した。
和歌山線への新型車両導入は1989年以来。56両(2両編成×28本)を順次導入し、20年春までに全ての車両を新型に置き換える。「車載型IC改札機」の使用開始は20年春からとなる。車体の色は緑色を採用し、奈良、和歌山両県が持つ文化や歴史・自然の奥深さを表現するとしている。
投資額は約120億円。車内にはLED照明や多機能トイレ、大型手すり、自動で温度を調整する空調などを設置し、快適性が向上。トラブル発生への対策として、ドアに物が挟まれた場合に機械が異常を検知し音声警報と表示灯で乗務員に知らせる「戸挟み検知装置」や、車体の加速度から異常を検知し自動で列車を緊急停止させる「車両異常挙動検知装置」を設置する。
和歌山線の県内区間は22駅のうち14駅が無人駅となっており、利用者から「ICOCAで乗ったが降りる駅で使えず困った」という声を受け、車載型IC改札機を導入する。関西では水間鉄道が導入しているが、JR西日本では19年春に導入を予定している境線(鳥取県)に次ぎ2例目となる。走行速度はこれまでと変わらない。
伊藤支社長は和歌山市の同支社で開かれた会見で、少子化による通学利用者の減少をはじめ沿線の人口減により同線を取り巻く環境が厳しくなっていると話し、「追い込まれてから動くのでは遅い。今のうちから路線の魅力を高める必要がある。地域と一体となり活性化に取り組んでいきたい」と強調した。