根来伝説フラメンコで 29日に旧県会議事堂

 和歌山フラメンコ協会(森久美子会長)による、和歌山の文化とフラメンコが融合した新しい舞台芸術「伝説ふらめんこ舞(まい)舞台」の第一弾「ねごろ伝説~住蛇(じゅうじゃ)が池~」が29日午後3時から、和歌山県岩出市根来の重要文化財「旧県会議事堂(一乗閣)」で上演される。フラメンコによる能面の舞と筑前琵琶が織りなす幽玄の世界に期待が高まっている。

 文化の力で和歌山を再発見しようと、同協会は昨年から、地元の伝説をフラメンコで表現する舞台を企画。スペイン大使館や県、本紙などが後援する。

 最初の公演となる「ねごろ伝説」は、岩出市根来の住持池を舞台に、小野小町に恋慕した深草少将の「百夜(ももよ)通い」を基にした物語となっている。根来山の麓に住む夫婦は小野小町の墓に参り願をかけ、授かった娘・桂姫は小町に似た美しい女性に成長。婚礼の日、100年を経てなお小町を慕う深草少将の化身である大蛇が住蛇が池(住持池)に現れ、桂姫はさらわれてしまう――。

 能面をつけたフラメンコダンサーと、筑前琵琶・篠笛・太鼓などの和楽器を取り入れた舞台が、和風意匠の木造県会議事堂として唯一現存する一乗閣を舞台に繰り広げられる。

 出演は、森さんと森久美子フラメンコ舞踊団、フラメンコダンサーのパブロ・セルバンテスさん(スペイン)、筑前琵琶奏者の川村旭芳さんの他、根来の子守唄独唱の佐藤恭子さん、篠笛演奏の上中由貴さん、太鼓演奏のHICARICHIさんら。

 森さんは、和楽器とフラメンコを融合した「和のフラメンコ」を創作。2000年に米国ニューヨークで尺八と能面を取り入れた舞台を上演し、国内外で公演を重ねている。また、八代将軍・徳川吉宗や道成寺の清姫伝説など和歌山にちなんだ作品もプロデュースしてきた。

 「魂の求めるままにフラメンコ探求に人生の半分を費やし、日本人としてのDNAを誇りと感じた時、和のフラメンコの舞台が出来上がった」という森さんにとって、今回は新たな挑戦の舞台。「協会として総力を挙げて取り組んでいるプロジェクト。ねごろ伝説の魅力とフラメンコの芸術性、和楽器の音色、能のわびさびなど、西洋と東洋、静と動が織りなす幽玄の世界を、文化遺産である一乗閣でぜひ楽しんでいただきたい」と話している。

 チケットは前売り一般2000円、小中学生1000円(当日は500円増し)。問い合わせは同協会【伝説ふらめんこ舞舞台】実行委員会(℡073・402・4331)。

小町の能面を手にする森さん

小町の能面を手にする森さん