素朴で華麗な墨の世界 5日~新田さん個展

 日本画伯玄会の理事長、和歌山県海南市井田の新田博昭さん(83)は5日から8日まで、海南市民会館ホールで日本画(水墨画)の個展「墨の世界」を開く。

 個展は3度目で6年ぶり。新田さんは「まだまだ未熟で自分で言うのはおかしいかもしれませんが、脂が乗り切り、持てる力を発揮できるようになってきたかなと思います。ご覧いただければうれしいです」と話している。

 新田さんは元中学校の音楽科の教諭。吹奏楽一筋に指導し、東海南中学校で校長を務めた後に退職。もともと絵を描くのは好きで、退職後に故・稲垣伯堂氏に学んだ。昨年、日本藝術選奨大賞の水墨画部門の大賞に輝き、このほど世界基準国際芸術文化協会から日本代表殿堂作家の認定を受けた。

 日本画は和紙をもみ、何度も表や裏から色を入れることで、奥行きや味わいのある作品に仕上がり「素朴さも華麗さも表現できるのが大きな魅力。その場の雰囲気をつかみ、心に映った心象風景を描きたい」と新田さん。

 展示される「遊ぶ母と子」は島根の足立美術館で出合った風景。緑の庭を背景に、2人の楽しそうな姿を逆光で捉えた影絵芝居のワンシーンのような一枚。また、青と黄色の世界が印象的な「夕暮のひととき」は、串本町の橋杭岩で2羽の鳥が羽を休め、静寂感のある作品。

 今展では20点の他、日本画と同時期に習い始めた書の作品約20点も展示。「投票箱も置いています。気に入った作品を教えてください」と呼び掛けている。午前10時~午後5時(最終日は4時)。

詩情豊かな作品と新田さん

詩情豊かな作品と新田さん