ICT教育の環境整備へ 県教委が実証実験

和歌山県教育委員会は6日、綜合警備保障㈱(アルソック、青山幸恭社長)とクオリティソフト㈱(浦聖治社長)、協力企業4社と和歌山大学と共に、県立中学校のICT(情報通信技術)環境実現に向けた実証実験を実施することを発表した。アルソックはこれまでもサイバーセキュリティーの面から実証実験を行ってきたが、今回が最も規模の大きな取り組みとなる。

文部科学省が推進する2020年までのデジタル教科書普及に向け、生徒1人1台のパソコン環境の整備、ICTの環境整備と必要なソフトや学習方法を考えていくため、アルソックが県教委に提案。アルソックとクオリティソフトに実験協力企業のヴイストン㈱(大和信夫代表取締役)、㈱学研プラス(碇秀行社長)、㈱ディアイティ(三橋薫社長)、㈱テクノル(千葉哲也社長)が加わった企業コンソーシアムがパソコンやサービスを提供する。

対象となるのは県立桐蔭中学校と県立日高高校付属中学校の3年生全120人で、今月から1年間、1人1台ずつタブレットパソコンが支給される。タブレットは英語のデジタル教科書、電子黒板の映写、プログラミングやSNSの活用方法の授業の他、家庭での宿題や調べ学習、回線を利用したグループ学習に用いられる。

24時間体制でアクセス履歴などのログが残され、位置情報も確認でき、セキュリティー対策も充実。SNSのいじめ対策にはクオリティソフトのトークアプリ「セキュアチャット」を使用。学校内の限定された空間で利用でき、生徒同士のグループの設定に教員の許可が必要で、会話ログも全て残される。

今後は学校や学年に応じた授業のやり方やタブレットのセキュリティーなどを検証し、8月ごろに中間総括を行う予定。

県庁で記者会見した宮下和己県教育長は「多彩なメンバーでいろいろな立場から検証してもらえる。今後の参考になることが見つかり、和歌山の教育に反映されるとうれしい」と期待を寄せ、アルソックの寺尾政志常務執行役員は「サイバーセキュリティーの面から24時間の監視と見守りで安心・安全をプラスしたい」、クオリティソフトの浦社長は「ソフトの専門企業として幅広く実験を手伝いたい。県内の学校に導入されて、ICTに強い人材が出てくることを楽しみにしたい」と話した。

「今後につながる実験を」と宮下教育長(中央)

「今後につながる実験を」と宮下教育長(中央)