安全な不整脈治療 日赤に県内初のシステム

放置すると脳梗塞や心不全などの重大疾患につながる不整脈――。日本赤十字社和歌山医療センターは、不整脈へのカテーテルアブレーション療法の安全性・確実性を担保し増強が期待できるマッピングシステムを県内で初めて導入した。3月8日に1例目の施術に成功し、3月末までに4例を施行した。

同センターでカテーテルアブレーションを行うのは循環器内科部副部長の花澤康司医師(42)。ドイツの病院で2年間、不整脈治療に携わり、同センターで1000例以上、これまで3000例以上もの症例を経験してきた。

心臓は1分間に60~80回のポンプ活動を規則的に行っている状態が正常とされているが、生まれつき心臓内の電気の流れに異常があったり、年齢とともに心臓内の機能が低下したりした場合、心臓に電気が伝わりづらくなり、鼓動が乱れる。これを不整脈と呼ぶ。

不整脈は脈が速くなる「頻脈性」と脈が遅くなる「徐脈性」などがある。徐脈性は電気刺激の機能低下が原因であるため、人工的に刺激を与える心臓ペースメーカーによる治療が有効となる。頻脈性はこれまで、服薬による治療や開頭、開胸をしなければ治療できなかったが、カテーテルアブレーションでは、カテーテルと呼ばれる細い管を太ももの付け根の動脈(大腿動脈)から挿入し、X線で透視しながら患部まで誘導し血管内で治療することができる。手術時間は不整脈の種類にもよるが、3~4時間程度。傷口も小さく、入院期間も3泊4日~4泊5日と患者にとっての負担も少ないことが大きい。

今回同センターが導入したマッピングシステムは、1万以上の点で電気信号を捉えるため、カテーテルアブレーションの治療中に心臓内の電気の流れをより詳しく確認できるようになり、治療の正確性の向上が期待できる。従来から導入していた心臓の位置を正確に把握するシステムに加え、より安全で確実な治療が可能となった。

花澤医師は「不整脈を治療したいという患者のニーズに応えたい。県外に行かなくても不整脈は和歌山でしっかりと治療でき、治るということを伝えたい」と力を込める。

また、不整脈は高齢化に伴い増加傾向にあることから「動悸・息切れ・めまいがあればかかりつけ医を受診してほしい。毎日の血圧や脈拍の測定が大切です」と呼び掛けている。

「不整脈治療は和歌山で」と花澤医師

「不整脈治療は和歌山で」と花澤医師