初の乙姫オーディション 紀三井寺で伝説再現
龍宮から乙姫が龍灯をささげて来山したとされる紀三井寺(和歌山県和歌山市)の伝説を再現しようと、紀三井寺・龍宮乙姫伝説実行委員会(岩崎稔誉子会長)は9日、8月9日に行う「龍宮乙姫龍灯献上行脚」で乙姫役を務める女性のオーディションを初めて行うと発表した。地元でも知る人が少ないといわれる名刹の逸話を広く発信し、地域活性化を目指す。
伝説によると、約1250年前、唐から日本に渡り、紀三井寺を開いた為光上人が大般若経を写経した際、乙姫が現れて観音霊場の建立を喜び、毎年8月9日に、龍宮から海の中でも消えない龍灯を献上しに訪れると話したという。以来、この日は一日の参詣で千日分の功徳が得られるという特別な日となり、「千日詣」として現在も多くの人々が参拝に訪れている。
伝説の光景を具現化することで、地域の人々に改めて誇りと愛情を持ってもらい、県外、海外からの観光客を引き寄せる魅力ある祭りにすることを目指し、会社役員や舞踊団体の代表らが4月に実行委を結成した。
9日、岩崎会長、エヴァ香陽副会長、顧問を務める前田泰道貫主らが紀三井寺で記者会見。龍灯を献上する乙姫が描かれた「紀三井寺参詣曼荼羅絵図」を紹介した前田貫主は「伝説の存在を知っていただき、皆さんにその存在を広めたい」と話し、岩崎会長は「千日詣が伝統ある行事であることを知って参加してほしい。地域への愛情が生まれるよう、心に残るお祭りにしたい」と語った。
龍宮乙姫龍灯献上行脚は昨年、和歌山オリエンタルダンス協会などの協力で初めて再現されており、同協会代表理事であるエヴァ副会長が乙姫役を務めた。ことしから乙姫役を公募することにし、エヴァ副会長は「乙姫行脚を形にできるように力を合わせていきたい。地域の方々と協力してお祭りを盛り上げていきたい」と意気込む。
乙姫役の募集は11日から6月11日まで受け付ける。応募資格は15歳(高校生以上)から25歳までの女性で7月15、22、29日、8月5日のリハーサルに参加できる人。未成年者は保護者の同意が必要。必要事項を記入した申込書に写真を添えて実行委事務局(〒640―8155和歌山市9番丁4の1ラウムズ和歌山9番丁1階、メールotohimedensetsu.8.9@gmail.com)に申し込む。ウェブ(http://nanairosya.or.jp/ryutouotohime_aud/)でも応募できる。
1次は書類審査、2次は7月1日に面接と実技(得意なことを披露)を行う。
問い合わせも事務局(℡073・488・4877)。