家康紀行(64)名古屋の文化を発信「金シャチ横丁」
前号では、名古屋市民から信仰を集め、三種の神器の一つ、草薙剣(くさなぎのつるぎ)が祭られていることで知られる熱田神宮(あつたじんぐう)を紹介した。
名古屋市民に愛され親しまれる名古屋城は、木造天守復元のため今月7日から入場禁止となり、来年9月に解体が始まる。五層五階建ての新天守は2020年に着工し22年12月に完成予定。しばし名古屋のシンボルが見られなくなるが、ことし3月、城内にご当地グルメを集めた施設がオープンし話題を集めている。今週は新たなにぎわいを創出しようとつくられた「金シャチ横丁」を紹介したい。
金シャチ横丁は3月29日にオープン。ご当地名物の「なごやめし」の数々や、新たな名古屋の食を提供する飲食店をはじめ、伝統工芸品、土産品を販売する店舗が建ち並ぶ。
名古屋城正門側に「義直(よしなお)ゾーン」、東門側に「宗春(むねはる)ゾーン」と名付けられた二つのエリアに分かれて構成。義直ゾーンは、尾張藩の初代藩主・義直にちなんだネーミングで、木曽産の木材を使用し城下町を思わせる和風の佇まいが特徴。名古屋コーチンを使った料理や、ひつまぶし、みそかつなどの名古屋めしを提供する店舗が軒を連ねる。
一方、宗春ゾーンは尾張藩7代藩主・宗春にちなんだネーミング。義直ゾーンとは異なり、モダンな佇まいの建物で、若手経営者による新しい名古屋の食文化の発信を目指しているという。宗春の名が使われた理由は、祭りや芸能を推奨、消費を促進し経済を活性化しようとした派手な性格の持ち主として知られるため。時の将軍、徳川吉宗の質素倹約を重視する政策とはまさに正反対で、名古屋に華やかで新しい文化を生み出したとされる。
(次田尚弘/名古屋市)