癒やしの湯守り半世紀 花山温泉が記念式典

 花山温泉薬師の湯を経営する花山開発㈱(和歌山県和歌山市鳴神)が創業50周年を迎え、記念式典と祝賀会が10日、和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で行われ、関係者ら約120人が節目を祝った。

 花山温泉薬師の湯は、1965年に創業者の中村彌次郎氏が温泉ボーリングに着手し、68年に市内初の天然温泉施設として開業した。茶褐色の炭酸温泉で知られ、その後、花山温泉会館として旅館を併設。心と体を癒やす湯治というかたちで多くの人に提供してきた。温泉と健康をテーマに、交流サロンや里山保全ボランティア、温泉講座やスタンプラリーなどを企画し、地域づくりや観光振興に寄与してきた。

 式典で、中村源吾社長はこれまでの歩みを振り返りながら「今後も多くの取り組みの中で、花山温泉ブランドを確立していきたい。当社の社是、誠実・努力・協力一致の精神で取り組んでまいります」と決意。温泉に45年間毎日のように通い続けているという三木正邦さん(86)も、湯の効能について体験談を話した。

 また中村社長と親交があり、全国美術公募展「人間展」を立ち上げるなど活躍する彫刻家の堀内健二さんが手掛けた壁画も披露された。

 作品はベネチアガラスやアワビの殻、花崗岩を使い、同社が3代で築いてきたつながりや勢いを、地下から吹き出る温泉のエネルギーに重ねて3本の温泉柱で表現。アジサイなど里山の豊かな自然も盛り込まれ、堀内さんは「ますます素晴らしい進化を遂げる温泉になるよう、私もできる限り協力したい」とメッセージを送った。

 また下呂発温泉博物館名誉館長で、日本温泉科学会評議員の古田靖志さんの「花山温泉の話」をテーマにしたスピーチもあった。

記念壁画を披露する堀内さん㊨と中村社長

記念壁画を披露する堀内さん㊨と中村社長