県産果物の新スイーツ カフェ・マキシム

 和歌山県海南市船尾のカフェ「マキシム」(日口奈央代表)は創業12年を迎えたことし春、老朽化していた店内の一部をリノベーション。レトロモダンな雰囲気を演出し、職人かたぎの残る黒江地区で一層愛される店を目指している。今月からは県産の果物などを使った新スイーツが登場。菓子もショーケースも地元の職人が手掛けた逸品で、日口さん(37)はまちの産品や魅力を同店からも発信しようと情熱を傾けている。

 提供を始めるのは日口さんが構想し、同市且来に店を構えるアンシャンテ菓子工房の山口知也さん(45)が製作協力したケーキ。キンカンやブルーベリーなど、旬の果物の甘煮がトッピングされた季節のレアチーズケーキや和風ミニパフェなどがあり、随時アンシャンテのオリジナルケーキもお目見えする。

 店の中心に据えたケーキ用ショーケースは、「マキシム」と同地区に店を構える「現代風鍛冶工房HOUSEHOLDINDUSTRY」の武田伸之さん(40)が製作。ガラス・鉄・木材を組み合わせたデザインで「おしゃれ!」と客の評判を呼んでいる。

 武田さんによると、ケーキが引き立つよう色の濃いウォールナットという木材を使用して全体的にシックに仕上げ、同店に多く集まる地域の情報を記した各種ビラが整理しやすいよう、収納棚を豊富に付けたという。

 同店は、2006年3月、それまで大阪で社会人生活を送っていた同地区出身の日口さんが、結婚を期に帰郷し創業した。得意のイラストやデザインの仕事を精力的にこなし充実していたが、体調を崩したことから、空気の良い和歌山での結婚生活を選んだ。

 思春期の頃は故郷を「人が少なく、寂れている」と感じていたが、都会での7年にわたる生活を経験した後には「船尾にはものづくり職人の心意気が息づいている」と新たな気付きを得て「大人がもっと生き生きと暮らしたら元気なまちになるのではないか」と考えている。 

 日口さんは「センスが良く信頼できる職人さんが近所にいてくれることがとてもうれしいです。このガラスのショケースが海南のすてきなものを紹介する窓になれば」と願っている。

 同店の営業は午前11時半から午後4時まで。水曜日が定休。問い合わせは(℡073・483・5552)。

粋なショーケースと日口さん

粋なショーケースと日口さん