和歌の浦の六景 中尾さん南コミセンに寄贈

和歌山県和歌山市三葛の洋画家、中尾安希さん(76)が、和歌の浦の風景を描いた500号の油彩画の大作「和歌の浦うるはし 六景めぐり」(400㌢×160㌢、6点)を、このほど開館した南コミュニティセンター(同市紀三井寺)に寄贈した。

日本遺産に認定された「絶景の宝庫 和歌の浦」を紹介する1階コーナーで、寄贈作品6枚を季節ごとに替えて展示する予定。中尾さんは「いい機会に恵まれました。大きな壁面で、皆さんに万葉のふるさとを感じていただきたい」と話している。

中尾さんは「和歌浦の開発が進む中、自然風景の美しさをせめて絵に残しておきたい」と、1996年から2009年にかけて大作に挑戦。現地にも大きなキャンバスを運び込んで描き、1枚に2~3カ月かけて完成させた。

作品は展覧会を中心に発表し、長年大切にアトリエで保管していた。今回、和歌の浦のすぐそばに同館がオープンするというタイミングが重なり、多くの人に見てもらおうと開館記念に寄贈を決めた。

現在展示されている「和歌の浦」は、妹背山から南を望む風景。藤白周辺の美しい山並みと、それが鏡のように水面に映った様子を描き、朝焼けから夕暮れまでの時間の流れを1枚で表現している。

その他、雪化粧した荘厳な「雪の観海閣」、元日に山端から顔を出す太陽を描いた「初日の出・和歌の浦」、彼岸の中日に見られる「ハナフリ」を題材にした「夕日・雑賀崎」など、季節や時間ごとに移り変わる和歌の浦周辺の景色をふんわりとした色使いで描いている。

中尾さんは「6枚合わせると、妹背山を中心に、ぐるっとひと回りするように和歌の浦の景色を楽しんでもらえるはず」と笑顔で話している。

寄贈作品のうち、現在展示中の「和歌の浦」と中尾さん

寄贈作品のうち、現在展示中の「和歌の浦」と中尾さん