人生の最期を自分らしく 副知事ら啓発劇

 人生の最終段階で患者や家族が医療の意思決定を行うことについて和歌山県民に啓発するイベント「さいごまで自分らしく」が2日、和歌山市小松原通の県民文化会館小ホールで開かれた。下宏副知事が主人公を演じる演劇やシンポジウムがあり、約300人が人生の最期の在り方について考えた。

 高齢化が進む県内で、本人の希望に沿い、住み慣れた地域で最期まで自分らしく暮らすことができるよう、患者と家族、医療従事者による医療の意思決定を普及させる県の取り組みの一環。

 演劇「さいごまで自分らしく」は、下副知事演じる主人公が体力に不安を覚え検診を受けた際、医師から万が一のための心づもりをするよう勧められ、人生の最期について考えるストーリー。下副知事の他、県職員や医療関係者、市消防局の救急救命士らが出演した。

 自宅で最期を迎えたくても、救急隊には命を最優先して医療機関に搬送する義務があったり、本人の意思が確認できなければ延命治療を拒否できなかったり、実際に起こり得るさまざまなケースを紹介した。自宅で安心して過ごすために医療関係者を交えて話し合いをすることなど、希望通りの最期を迎えるために必要なことが織り交ぜられた内容で、来場者は静かに見入った。

 シンポジウムには下副知事や県福祉保健部の野㞍孝子技監、県病院協会の上野雄二会長らが出席。人生の最終段階の医療ケアを考える過程「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の実施タイミングや、もしもの時の意思表示について、県民へのアンケート結果を基に話し合った。

医師に勧められ人生の最期について考える、下副知事演じる主人公㊧

医師に勧められ人生の最期について考える、下副知事演じる主人公㊧