アルコール依存症克服 奥村さんが体験記を出版
アルコール依存症を克服して20年がたち、中小企業診断士として活動する和歌山県和歌山市の奥村和馬さん(52)が、自身の体験をまとめた『絶望を希望に変える勇気―アルコール依存症を克服した真実のストーリー―』を夢叶舎から出版した。「アルコール依存症は本人の意志や気持ちが大事。自分と真剣に向き合えば人生は変えることができる」と話している。
アルコールの問題で苦しんでいる人や家族など、人生に絶望している人に向けて本の出版を決意。
著書では酒におぼれて苦しんだ壮絶な体験から、社会復帰するまでを赤裸々につづっている。
奥村さんは海南市下津町出身。和歌山大学を卒業後、会社員として働くが仕事のストレスと考え過ぎる自分を酒で紛らわせる日々が続いた。仕事が手に付かないだけでなく、心身や人間関係、生活など全てが壊れていったという。
25歳で精神科病院に入院するものの、アルコール依存症だけでなく薬の副作用にも苦しんだ。「お酒をやめたいという気持ちでいっぱいだったが、心と体がお酒に支配されていたのは苦しかった」と当時を振り返る。
31歳の時、和歌山市のアルコール依存症を支援する自助グループに参加。また、32歳で岸和田市にある病院の医師と出会ったことが断酒への気持ちを強くするきっかけとなった。アルコール依存症関連の本を読みあさって徹底的に知識を集め、自分を変えるためにはどうすれば良いかを学んだ。
38歳で父の家業を継ぐ決心を固め、中小企業診断士の勉強を開始。コミュニケーション能力を向上させるため、家庭教師をしながら8年後の46歳で見事合格した。現在は会社経営者などに事業計画の作成支援や、補助金の申請支援などのコンサルティングを行っている。
お酒をやめて新しい人生を歩み出してことしで20年。「どこか成人式を迎えた気持ちです」と奥村さん。「本人が心の底からやめたいと思わないと、お酒を断つのは難しい。医療機関や自助グループなどに参加し、自分を変えるために少しずつでも前に進んでほしい。この本が少しでも役に立つことができればうれしい」と願っている。
A5判、151㌻、1620円(税込み)。ネット通販アマゾンで販売している。