西条藩を知る(8)四国初の鉄道博物館など
前号では、西条市で江戸中期から受け継がれている豊かな水文化について紹介した。今週は、西条陣屋から南東へ約1㌔に位置する西条市の玄関口「伊予西条駅」周辺の施設を紹介したい。
伊予西条駅は、北側に住宅地が広がり、南側には田畑が残る地域。日中帯は上下とも、1時間あたり特急1本、普通列車1本の運行という長閑な駅に、四国を代表する鉄道博物館がある。
西条市は伊予西条駅の周辺を「鉄道歴史パークinSAIJO」と名付け、「四国鉄道文化館北館」「四国鉄道文化館南館」「十河信二記念館」「観光交流センター」の4施設を運営。鉄道の歴史や文化、地域の魅力を発信している。
「四国鉄道文化館」は、かつて西条市の市長を務め、国鉄総裁時、新幹線の開業に大きく貢献し「新幹線の生みの親」の一人として知られる十河信二(そごうしんじ)氏(1884―1981)のゆかりの地であることにちなみ造られた、四国初の鉄道博物館である。日本ナショナルトラストが全国で9番目に建設したヘリテージセンターで、委託により西条市が運営を行っている。
四国鉄道文化館は2007年、伊予西条駅の北側に開館。翌年には入館者数10万人を超える人気施設となり、14年には線路を挟んだ駅の南側に新たな展示施設がオープン。北側の施設を北館、南側を南館としている。
北館は、JR予讃線から分岐した線路が館内へと敷設されており、背の高い木造の館内では「0系新幹線」と、主に四国エリアで活躍した「DF50形」と呼ばれるディーゼル機関車の1号機が展示されている。0系新幹線は約1020万㌔、DF50形機関車は約260万㌔を走行したというが、それを感じさせないほどに磨かれた車両は来館者を魅了する。
(次田尚弘/西条市)