美里バレー最後の県大会予選へ 活動40年
40年の歴史がある和歌山県紀美野町の小学生バレーボールチーム「美里バレーボールクラブ」(堂西孝俊監督)が、現在の名称で試合に臨む最終シーズンを迎えている。部員11人のうち旧美里町地域の選手が6年生の主将1人だけとなり、チームは21日に最後の県小学生バレーボール選手権大会の予選を控え、1試合でも多くチームの名前と活動を歴史に刻もうと、練習に励んでいる。
同クラブは堂西監督(66)が26歳の時、知人から依頼されて創部し、当時の町立志賀野小学校体育館で活動をスタートした。山間地域の部員数の少ないチームでありながら、創部からわずか5年で近畿大会出場を果たし、昨年も近畿へ。40年の長きにわたり地域の子どもたちが活躍し、数々の好成績を残してきた。
堂西監督が指導で大切にしているのは「バレーボールを通じてスポーツを好きになってもらうこと」。走ったり跳んだりする体力や忍耐力を養うため、さまざまな反復練習を中心にトレーニング。試合に勝つ喜びは「つらさや悩みも忘れさせる」と、練習試合にも積極的に取り組んできた。
クラブで指導を受けた卒業生が家庭を築き、わが子を入部させる例もあり、堂西監督は「保護者の協力が心強く、盛大な応援もしてくれるので『美里』という名にはひときわ愛着がある」と話す。
最後の県大会出場を目標に、練習も最終盤を迎えている。町立野上小学校での練習では、「しっかり声を出して」「ボールの下にきちんと入って」などと厳しい指導の声が飛ぶ。
部員たちも流れる汗をぬぐいながら懸命に応え、厳しい練習にも「ラリーが続き、最後に得点できた時が楽しい」と話す。最後の大会に向けては、「試合の時は緊張してカチコチになってしまうので、笑顔でプレーしたら勝てると思う」とにっこり。
主将の塚田華蓮さん(11)は「緊張した時は、今までで一番嫌だったことを思い出して『それよりはマシ!』と思って頑張ります」と意気込む。コーチの坂本雅律さん(56)は「日頃の練習でつけた力を出せるよう、一球一球を必死で追ってほしい」、保護者代表の寺田真由美さんは「監督やコーチの厳しい指導は、子どもたちの心身の成長を願ってのことで、ありがたいと感じています」と話し、子どもたちにエールを送る。
予選には海南海草地区から8チームが出場し、上位4チームが11月11日に白浜町で開かれる県大会への出場権を獲得する。今後の活動は、新たに立ち上げられた「きみのバレーボールクラブ」に移行する予定。「美里バレー」の最後の挑戦が始まる。
【美里バレーボールクラブ】6年=曲谷明音、寺田誉、塚田華蓮、黒土琴映、兼本莉香子▽5年=松元里恋、新谷日菜子、柏本涼音、坂本直、田中菜月▽3年=松元亜恋