「和歌山(有田)むき」を全国へ

 前号では、愛媛県でミカンの魅力を発信するキャラクター「みきゃん」の戦略を取り上げた。PR上手な愛媛県に負けない、和歌山ならではの魅力がある。年末年始の休暇で帰省された県外在住の皆さんにも知っていただきたい、この時期ならではの話題をお伝えしたい。
 お正月といえば、こたつでミカン。皆さんは、ミカンをどのようにむくだろうか。裏向きにして4分割に。それを「和歌山(有田)むき」という。
 私たち和歌山県民にとってはなじみ深いが、全国的には何回かに分けて、あるいは上部のヘタから少しずつむいていくのが一般的。
 筆者がそれに気付いたのは県外出身の友人らに、君のミカンのむき方は非常に理にかなっていると言われたこと。実に汚れがつきづらく、机も汚さず後処理も容易と絶賛された。
 しかし、筆者は、和歌山むきは原則、和歌山産のミカンでないとその威力を発揮できないことに気付き始める。スーパーで買った他県産のミカン。和歌山むきを試みるもうまく割れない。筆者なりの分析では、和歌山県産の特徴である実が薄皮であること、大柄ではないサイズ感、そして地元ならではの流通の速さが、和歌山むきができる条件。乾燥が進んでいないため実と実が容易に分離でき、適度な力の入れ具合で外側の皮が裂けるといった具合。
 地域の人にとっては何気ないが、独特の文化である和歌山むき。それは和歌山ならではの、ミカンの特性に由来するもの。昨今、手が汚れるからとミカンを敬遠する人も多いとか。和歌山むきを広めることで、和歌山県産のミカンの新たな価値を発信できるのでは。
 帰省中の読者の皆さん。県外へお帰りの際はぜひ、和歌山むきを話題にしてほしい。
(次田尚弘/有田市)