和歌山南スマートIC開通 アクセス道路も
和歌山県と西日本高速道路㈱(NEXCO西日本)が和歌山市森小手穂に建設を進めてきた阪和自動車道「和歌山南スマートインターチェンジ(IC)」が10日、開通した。小雨が降る中、地権者や地元住民、行政関係者ら1000人以上が式典に集まり、先立って行われたウオーキングには約1500人が参加。アクセス道路の主要地方道和歌山橋本線と県道三田海南線も同時に開通し、交通の利便性向上に加え、観光振興や防災、救急医療への寄与などの効果が期待されている。
同ICは、ICがなかった和歌山市南部で約30年前から建設を求める声があった待望久しい設備で、2013年度に事業化され、16年10月から工事が進められてきた。事業費は約53億円。和歌山ICから南に4・0㌔、海南東ICから北に5・8㌔の地点に位置し、全車種対応、全方向に24時間通行が可能な本格的なETC搭載車専用のIC。計画交通量は一日に7900台となっている。
同ICに接続する和歌山橋本線は、同市和田―吉礼間の東西2・5㌔で、事業費は約145億円。三田海南線は、和歌山橋本線の和田方面から南へ県道秋月海南線を経由して冬野に至る南北1・3㌔で、事業費は約30億円。いずれも4車線(一部除く)と歩道を備えている。
今回の開通により、和歌山市南部地域の高速道路へのアクセス性は大きく向上。りんくうタウンに移動する場合、同ICを利用すれば、和歌山ICを利用するよりも約12分の短縮となる。
IC利用5分圏域の人口は約5万人から約7万3000人に増え、和歌山、海南東など既存IC周辺道路の混雑緩和が見込まれる。
和歌山下津港や西浜工業団地などへのアクセス時間も短縮され、企業活動の活発化や企業誘致の促進につながる他、和歌山電鐵貴志駅(たま駅長)や桃源郷、和歌の浦などを巡る新たな観光周遊ルートの開発により、観光振興の効果も期待されている。
防災機能では、和歌山市から海南市間の被災地や防災拠点への迅速な救助や復旧活動が可能となり、新たに和歌山市の人口の約1割、約3万5000人の救助・救援ルートとしての活用を期待。
医療の面では、第三次救急医療機関である県立医科大学付属病院へのアクセスが、紀伊小学校からの場合、従来より13分短縮されることが見込まれ、広域的な救急医療体制の充実が図られる。
式典に先立ち、和歌山南スマートICのランプ部を開放してウオーキングイベントが行われ、雨の中、周辺の住民らが傘を差しながら真新しいアスファルトを踏みしめ、地元の新たなランドマークを体感していた。
式典はテント内で行われ、仁坂吉伸知事は「県民、特に和歌山市民の宿願であったICが、下の道(アクセス道)も含めて5年で実現に至ったのは大変早い。皆さんと共に開通を喜びたい」と述べ、NEXCO西日本の酒井和広社長もあいさつ。来賓には県関係の国会議員がそろい踏みし、二階俊博自民党幹事長、石田真敏総務大臣、世耕弘成経済産業大臣、鶴保庸介参議院議員、浮島智子文部科学副大臣、岸本周平衆議院議員、門博文衆議院議員らが祝辞を述べた。
建設計画スタート時、県の県土整備部長として事業化に尽力した尾花正啓和歌山市長の発声で万歳三唱し、参加者はICゲート前に移動。ちょうど一時的に雨が上がり、テープカットとくす玉開きで開通を祝い、紀州雑賀鉄砲衆による祝砲がとどろいた。
会場にはJAわかやまをはじめ地元の団体がブースを設け、特産品のPRなども行われた。
式典に参加した森小手穂の川辺公章さん(49)は「仕事にも、遊びに行くのにもスムーズに高速道路が利用できて便利になる。渋滞も緩和されて、地域が発展するのを期待している」と話していた。