十王図など新たに 和歌山市が文化財指定
和歌山市教育委員会は、市の文化財に総持寺(同市梶取)所蔵の「十王図」、木本八幡宮御田祭保存会(同市西庄)の木本八幡宮御田祭を新たに指定。護国院(同市紀三井寺)所蔵の「紀三井寺参詣曼荼羅」を名称変更、「熊野観心十界曼荼羅」を追加指定、県立図書館所蔵の「稲掛大平『玉鋒百首解』」を「玉津島神社文書」の付属品として指定した。これにより、指定文化財の件数は2件増えて65件となった。このうち「十王図」が21日まで、市立博物館で展示されている。
「十王図」は亡者を裁く10人の王を描いた10枚の作品だが、同寺で所有しているのは閻羅王(えんらおう)と都市王、五道転輪王の3幅。保存状態が良く、精嘉堂美術館(東京)が所有する元時代に作られた十王図を忠実に再現していることから価値が評価された。
紀三井寺参詣曼荼羅は「穀屋寺紙本著色紀三井寺縁起絵図」から名称を変更。指定された1969年ごろは参詣曼荼羅の研究が進んでおらず、縁起絵図の名称になっていたが、近年は研究も進み、展示では「参詣曼荼羅」と紹介され、一般に広く認知されるようになったため変更に至った。熊野観心十界曼荼羅は人が生まれてから死ぬまでを表す「老いの坂図」と地獄と施餓鬼(せがき)の様子が描かれている。西国三十三所では寺の御利益を紹介するため、紀三井寺参詣曼荼羅と併せて伝わっている寺院もある。
木本八幡宮御田祭は毎年1月7日に行われる五穀豊穣を祈願する神事。舞手は歌いながら鍬(くわ)で土を掘り返す所作や稲刈りの所作をまねて、田植えから収穫までを行う。市内で行っているのは同神社のみ。
稲掛大平『玉鋒百首解』は江戸時代の国学者・本居宣長(もとおり・のりなが)の養子で優秀な学者だった稲掛大平が執筆。神道や古典など古道精神について本居が詠んだ100首の歌を解説している。
市立博物館は入館料一般100円。月曜休館。
問い合わせは同館(℡073・423・0003)。