キャッシュレス普及へ 統一QRコード説明会

スマートフォンなどのモバイル端末を使用し、現金を使わないキャッシュレス決済の利用促進に向け、総務省は、1回の申し込みで複数のQR決済サービスと同時に契約することができ、手数料も安い統一QR「『JPQR』普及事業」を8月から和歌山をはじめ国内4県で開始する。和歌山県内はキャッシュレス決済の普及が進んでおらず、県は導入店向けの説明会を3日から県内各地で35回にわたり開催する。

財布からお金を出したり、お釣りをもらったりするやりとりが省けて便利なキャッシュレス決済。県商工振興課はサービスの導入が事業者にもたらすメリットとして、訪日外国人観光客(インバウンド)による消費の拡大や、レジ締めの時間短縮による人手不足の改善などを挙げる。

「日本にキャッシュレス決済を使える場所が多くあったら、滞在中にもっとお金を使っていたという声が特に中国人から多く上がっている。県内は中国人の宿泊客が多く、導入による効果は大きいはず」とみる。また「レジ1台の現金残高を確認するのに平均で20分かかる。レジ締め作業が不要となるため、人件費削減や生産性の向上につながるのでは」と期待を寄せる。

総務省や経済産業省がまとめた2014年度の商業統計によると、県内はキャッシュレス決済に対応している店舗の割合や決済に占めるキャッシュレスの比率で全都道府県中最下位。こうした現状について同課は「居酒屋やラーメン店、スーパーなど対応可能な店舗は増えているが、都市部に比べるとまだまだ動きは鈍い」。一方で、昨年11月に県が開いたキャッシュレス決済のセミナーに3日間で約500人が来場し、「予想よりかなり多く、関心は高いと感じた」と話す。

昨年の夏からキャッシュレス決済を利用しているという同課商工支援班の遠藤このみ副主査(32)は「決済は基本スマホです。ATM(現金自動預払機)を使う機会が激減し、それまで持っていた長財布が小銭入れになったのでカバンも小さくなりました。ポイントもたまるのでとても便利ですね」と話している。

JPQR普及事業は8月1日から来年1月末まで、和歌山、岩手、長野、福岡の計4県で行われる。「ラインペイ」や「オリガミペイ」など6社のQRサービスが1度の申し込みで契約することができ、通常3%程度の決済手数料が最大1・8%となっている。

県による事業の説明会は3日に海南、田辺の両市でスタートし、7月11日まで県内各地の商工会議所や商工会で行われる。説明会では県や商議所、決済事業者などの担当者が事業の概要を詳しく説明する。

参加無料。同課のホームページ(https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/060300/d00201626.html)から申込用紙をダウンロードし、必要事項を記入して近くの商工会か商工会議所にファクスで申し込む。

本紙エリアで開かれる説明会は次の通り。

【3日・10日】海南商工会議所(午後2時)【13日】紀の川市商工会(午後1時半)【14日】岩出市商工会(午後1時半)▽紀美野町役場美里支所(午後7時)【18日】和歌山商工会議所(午後1時、午後6時)【25日】和歌山商工会議所(午後1時)【7月4日】和歌山商工会議所(午後1時)【5日】同(午後6時)【9日・11日】同(午後1時)

「キャッシュレスはとても便利」と遠藤副主査

「キャッシュレスはとても便利」と遠藤副主査