浸水防止へ工事進む 住民ら七瀬排水路見学

 台風などの豪雨の際に農業用水路があふれ、周辺の農地や住宅地が浸水する被害を軽減するため、農林水産省近畿農政局が和歌山市北東部で排水用の地下水路建設を進めている事業の工事見学会が16日、川永団地付近の六箇井水路(七瀬排水路)第2工区で開かれた。

 国営総合農地防災事業「和歌山平野地区」の一環で、紀の川流域の和歌山、紀の川、岩出3市の4306㌶を受益地域とし、総事業費456億円を投じ2014~28年度の予定で工事を進めている。

 七瀬排水路は、和歌山市里から宇田森にかけての主に県道西脇山口線の道路下に総延長約2㌔の排水専用地下水路を新設するもの。残るは川永団地の地下を通る約600㍍の第2工区となり、来年1月まで工事を行う。

 見学会は、同局和歌山平野農地防災事業所(紀の川市貴志川町)と施工業者の㈱奥村組(大阪市)が主催し、地元住民約70人が参加した。

 同事務所が事業の概要を、奥村組が工法などを説明。地下水路は、内径2㍍のコンクリート管を地上から約6㍍の深さに設置する。地表を掘って埋め戻していくのではなく、掘削機で地下を横へと掘り進み、油圧機でコンクリート管を押し込んで設置していく推進工法を採用しているため、工事に必要な面積や騒音、振動などが大きく軽減されている。

 住民らは、掘削機や油圧機など実際の資機材を前に説明を受け、人が立ったまま通ることができる巨大なコンクリート管をくぐり抜けて大きさを体感。自分たちの居住地域で行われる大規模工事への理解を深めた。

 川永団地連合自治会の南成彦会長は「大雨の時に水路が逆流して団地内に水が入って来たことが何度もあり、今回はいい工事をやってもらえてありがたい。安心して住めるように、早く完成することを期待している」と話していた。

掘削機の説明を受ける住民ら

掘削機の説明を受ける住民ら