早なれ寿司人気 黒江のカフェべっちんさん

 江戸時代、一大漆器産地として栄えた和歌山県海南市黒江の川端通りに、カフェ「べっちんさん」(中西有美店長)が誕生して約2カ月。提供している、同市特産の「早なれ寿司」を求める地域の人も多く、和風モダンな店の内装も注目を浴びている。改装された築約100年の邸宅と共に、伝統の味や漆器が県内外に発信される場として、期待がかかる。

 カフェの看板メニューは「早なれ寿司おそばセット」(1000円~(税別)で、漆器に盛られた料理が、伝統的な建築様式の広間で楽しめる。

 早なれ寿司は、1948年ごろから同市内で発売された、ササの葉で包まれたサバ寿司。職人の川端秀子さん(79)を厨房に迎え、秘伝の味を伝承している。

 「作り込んで、練り込まれたうまさがある」と、同店を企画した㈱ナカヤマ(大阪市)の中山一代表取締役(71)。舞台幕などに使用する生地、別珍(べっちん)の取り引きを手掛けていることから、店を「べっちんさん」と名付け、地域に長年愛される「早なれ」の味を次世代に継承しようと思い立った。 

 邸宅の改装は、中山社長の娘で同社の専務を務める房子さん(39)と共に「明治時代から伝わる建物の姿をできるだけ残したい」と1年半をかけて仕上げた。京都に出向いて選んだ唐紙を壁紙に使用するなどして、伝統と現代が調和するようにした。

 2人は「おいしい『早なれ』を美しい器と日本建築と共に楽しんでいただき、地域の人をはじめ、多くの人のおもてなしをしたい」と話している。

 メニューは有機栽培コーヒー、紅茶各500円などがあり、早なれ寿司1個280円(税別)は持ち帰り用予約もできる。

 午前10時から午後5時まで。水曜日定休。問い合わせは同店(℡073・488・3369)。

日本建築の広間で中山社長

日本建築の広間で中山社長