子連れで働ける食堂を 奥畑さんが支援募る

 働きたくても働けない子育てママが子連れで働け、年金受給世代の人が年金に頼らず活躍できる食堂「たすき食堂」をオープンさせようと、和歌山市内で飲食店を経営する奥畑公康さん(42)がプロジェクトを立ち上げ、現在クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で支援を募っている。働き方改革が叫ばれる中、「飲食業から始まるまちづくり」をモットーに取り組みを進める奥畑さんに話を聞いた。

 23歳で独立し飲食店を開業。「飲食業が頑張れば農業、漁業、流通業、小売業などそこに関わる全ての人が潤い、街が活性するのでは」との思いを胸に、5年前から「飲食業から始まるまちづくり」をコンセプトに店舗展開を始め、現在は市内で、「イタリア食堂・キッチンキャミー」や居酒屋「紀州のしずく」など4店舗を経営している。

 そんな中、悩み続けていたのが人手不足。「どうしてこんなに人手不足が続くのか。働きたくても働けない人がいるのではないか」と考えた。自身の店舗にも、子どもが学校から帰ってくるからと早めに帰宅するスタッフや、長期休暇中に出勤することが難しいスタッフなど、もっと働きたいのに働けない子育て中のママが多数いた。「それなら、働きたくても働けない人が働ける職場や環境をつくればいい」と今回のプロジェクトを立ち上げた。

 子育てママが子連れで働ける職場づくりは、母と子が安心して働け、また客に迷惑を掛けることがないように、キッチンと客席のある食堂店舗を完全に分けるなど店舗設計からこだわった。「キッチンにママが立ち、子どもがリビングにいるようなイメージ」と奥畑さんは話す。

 さらに今回のプロジェクトでは、子育てママ世代だけではなく、年金受給世代の働き方改革にも切り込んだ。子育てママ世代が忙しい早朝の時間帯を中心に高齢者に出勤してもらい、時間を有効活用しこれまでの知識や経験を生かして活躍してもらいたいと考えている。

 店名は「たすき食堂」で同市十二番丁に開店予定。子どもとママが笑顔で働け、若い世代と高齢者がふれ合える一つのコミュニティー。世代から世代へ思いをつなげる「たすき」と、「子どもを育てるために懸命に働く母の決意」を込めて締める「たすき」の二つの思いを掛けて名付けた。

 食堂は、肉じゃがや卵焼き、煮魚など家庭の味を大切にしたおばんざいメニューを中心に、一人でもふらっと立ち寄りやすい店づくりを目指す。

 支援は9月15日まで、クラウドファンディングサイト「CAMPFIRE」内で「たすき食堂」と検索し、申し込むことができる。

 支援コースは3000円からで、5000円分の食事券がもらえる5000円コースなど、リターン品が付いた全7種類が用意されている。目標金額は100万円。子どもの安全を確保するためのオール電化や防犯カメラなどの設備費用に充てられる予定で、23日午後2時現在32万1000円が支援されている(目標金額に満たない場合もプロジェクトを実行しリターン品は届けられる)。

 ウェブでの支援が難しい場合は、キッチンキャミー(和歌山市十番丁)で現金での支援も受け付けている。「いろんな人が笑顔になれる大きな夢のあるプロジェクトです。ぜひ応援よろしくお願いします」と奥畑さん。また「子連れで働きたいなど興味のある人は気軽に連絡ください」と呼び掛けている。

 詳細や問い合わせはキッチンキャミー(℡073・422・3839)。

食堂開設への思いを語る奥畑さん