南海トラフ観測強化 基準点追加で地殻変動把握

海上保安庁は、これまでも行っている南海トラフ想定震源域における海底地殻変動観測について、海底の動きをより詳細に捉えることを目指し、紀伊半島南西沖の海底基準点に観測装置「海底局」を新たに設置する。これにより想定震源域全域での地盤の固着状態やその変化が把握でき、南海トラフ地震の評価検討などに役立つことが期待される。

新たな海底基準点は4点で、既設の15点に加え、プレートが沈み込み始める想定震源域南端の海域に今夏に設置。来年度以降も順次設置を進める。

海底局は重さ110㌔。水深約3000㍍の海底に、1基準点につき3台設置。GNSS測位(全球測位衛星システム)と音波による測量船と海底局間の距離計測データから、海底局の中心位置を決定し、観測を長期間繰り返すことで年間で数センチの海底の動きを捉えることができる。

同庁は報道機関向けにマルチビーム測深機や超音波流速計などを搭載した測量船「海洋」の船内で海底局を公開し、観測概要の説明会を実施。職員は「巨大地震の発生メカニズムの解明と防災に貢献したい」と話した。

海底基準点に設置される「海底局」