高野山の光が炬火に ねんりんピック採火式
第32回全国健康福祉祭「ねんりんピック紀の国わかやま2019」(11月9~12日)の総合開会式で点火される炬火(きょか)に、高野山奥之院の燈籠堂で約1000年間燃え続けているといわれる「祈親灯」が使われることが決まり、種火の採取と大会広報キャラバン隊への受け渡しイベントが17日、山内で行われた。
燈籠堂は弘法大師の弟子・真然大徳が最初に建立し、その後1023年(治安3)に藤原道長によってほぼ現在と同じ大きさの堂が建てられた。祈親灯は堂の中心で輝く「消えずの火」の一つ。祈親上人の勧めで、貧しい女性が自らの髪を売って工面したお金で献灯したと伝えられ、「貧女の一灯」とも呼ばれる。
高野山で入定し、永遠に生きているとされる弘法大師の生命を象徴している。
採火は、総本山金剛峯寺の山口文章宗務総長公室長の手で燈籠堂内で行われ、ちょうちんに移された祈親灯は、壇上伽藍の中門前に運ばれた。ねんりんピック広報キャラバン隊メンバーで、和歌山市出身のシンガー・SAYAKAさんと紀の川市出身のダンサー・古谷奈優実さんの2人が、大会マスコットのきいちゃんと共に、山口公室長からちょうちんを受け取った。
山口公室長は「祈親灯は、永遠と禅定を続けておられる弘法大師様の息遣いを感じながら、ずっと燃え続けている命の象徴です。その灯明が炬火に使われ、エネルギーをたくさんの人々に享受いただけたら、長寿、健康で幸せな生活を送れるよう、お大師様のお力添えがあると思っています」と期待を寄せた。
キャラバン隊として大会のPR活動を続けてきた2人は、祈親灯を受け取って緊張の表情。古谷さんは「イベントではきいちゃんダンスを覚えてくれている人が増え、関心が高まっている実感があります」、SAYAKAさんは「本番はもうすぐなので、盛り上げて成功できるよう、SNSなどでも発信していきたい」と話していた。
総合開会式は11月9日、和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場で行われ、炬火ランナーは県出身のオリンピックメダリストや期待の若手アスリートが務める。
第1走者は1964年東京五輪の体操金メダリスト・早田卓次さん、第2走者は「ミスターアマ野球」と呼ばれ、バルセロナ五輪で銅、アトランタ五輪で銀メダルを獲得した杉浦正則さん、第3走者はロンドン五輪レスリング銅メダルの湯元進一さん。最終の第4走者は、来年の東京五輪で活躍が期待されるフェンシングの東莉央・晟良姉妹が登場し、炬火に点火する。