和中・桐蔭140年 未来につなぐ記念式典

 和歌山県立桐蔭高校(旧制和歌山中学校)の創立140周年記念式典「ひらけゆく未来につなぐ改革と伝統」が12日、和歌山市小松原通の県民文化会館大ホールで開かれ、同窓生ら約400人が節目を祝った。台風19号の接近により生徒の参加は見送られたが、あいさつや応援団の演舞のビデオメッセージが寄せられ、新時代に向け卒業生と現役生が心を合わせて歩みを進めることを誓い合った。

 式典を主催した和中・桐蔭同窓会(森下正紀会長)は、140周年記念事業として、母校のさらなる学習環境の充実に取り組もうと、協力を求める広報活動を展開。賛同した多くの同窓生から、生徒の活動成果を知らせる広報板と科学教室用のエアコンが贈られ、記念品として冊子「写真に見る和中・桐蔭の歴史」やファイルなどが作成された。

 広報活動では、現役生と卒業生の絆を深めようと、式典のテーマとポスターのデザインを生徒から募集した。

 式典のあいさつで森下会長(69)は、母校について「情熱と力の湧き続ける学びやだ」と、政治、経済、医療など各界に偉人を輩出している誇りを話し、「先輩方の偉大な功績に改めて敬意を表し、来し方、行く末に思いをはせたい」と述べた。

 木皮享校長(59)は、世界で初めてビタミンAを抽出した高橋克己、元外務大臣の野村吉三郎、1936年ベルリン五輪の「友情のメダル」で知られる棒高跳び選手の西田修平ら卒業生の業績を紹介し、「諸先輩は困難から逃げ出さず歴史刷新を実現した」とたたえ、「在校生は和中時代から『文武両道』の精神を受け継ぐ桐蔭の生徒であることに誇りを持ってほしい」と力を込めた。

 ビデオメッセージで生徒会長の高岸優希さんは「勉学に励むだけでなく、体育大会のブロック戦などの盛り上がりはリーダーの自覚も芽生え、良い伝統です。これを支えに、これからの試練を乗り越えていきます」と笑顔。応援団の力強い演舞も披露され、式典に花を添えた。

 保護者を代表して保井伸介PTA会長(45)もあいさつ。OBの仁坂吉伸知事、岸本周平衆議院議員は「自由な校風の中に、規則を守る節度があり、素晴らしい高校生活を過ごした」などと懐かしんでいた。

 同じく卒業生で東京藝術大学学長、バイオリニストの澤和樹さんが記念講演とコンサートを行い、「多様性に満ちた教養を身に付けて」などのメッセージを贈り、美しく温かいバイオリンの音色で会場を包んだ。

 式典後、和歌山市湊通丁北のホテルアバローム紀の国に会場を移して祝賀会が開かれ、約200人が杯を交わしながら親交を深めた。

あいさつする森下会長