県内4人が入賞 筆文字で伝えたいことば大賞
日本デザイン書道作家協会主催の「第4回筆文字で伝えたいことば大賞」で、たから幼稚園(和歌山市塩屋)の岩崎紗奈さん(6)が優秀賞に輝くなど、和歌山県内から4人が特別賞に選ばれた。学生、一般の部で全国から2451作品の応募があり、各部門で特別賞を13作品選出。狭き門での快挙に、指導した同市の書家、北原美麗さん(55)は「大きな成果に驚いています。その人にしか表現できない素直な言葉、文字に感動しました」と喜んだ。
同コンテストは、手書きで文字を書く習慣が減りつつある中、筆で文字を書く楽しさを多くの人に感じてもらおうと企画。筆文字で書きたい言葉を、2文字以上20字以内で表現するもの。
県内からは岩崎さんの他、芸術新聞社賞に同幼稚園の竹家萌愛さん(6)が選ばれ、同幼稚園の中島結萌さん(5)、同市の森田誠さん(65)が入選となった。
北原さんは自身の書道教室で応募を呼び掛けた他、市内でワークショップを開催。月に2度ひらがな指導をする同幼稚園の子どもたちからも、自由な発想の作品を募った。
優秀賞に選ばれた岩崎さんの作品は、筆ペンで書いた「はがぬけた」。下の歯がぐらぐら動くもののなかなか抜けず、「昨日やっと抜けた」驚きや感動を文字にした。家族や周囲から「大人の歯が生えてくるね」「良かったね」と言われ、岩崎さんは「痛かったけど、気になってた歯が抜けてうれしかった」とにっこり。
躍るように生き生きとした文字で、母親の衣美さん(38)は「覚えたひらがなで書いた、この子らしい字だと思います。普段は、落ち着いて椅子に座っているのも苦手。文字を書くのが好きになり、自信につながるきっかけになればうれしいです」と話していた。
また、芸術新聞社賞を受けた竹家さんの作品は「ふうちゃんが わがままいうの」。2歳違いの妹・楓菜ちゃんのことを題材にし、竹家さんは「ふうちゃんが、いつも私にわがまま言う。でもかわいいし、いい子。一緒に絵本を読んだり、遊んだりして大好き」と笑顔だった。
2人の文字は「稚拙ながらも丁寧に筆を運び、温かみのある作品に仕上がっている」「線がとてもピュアで、子どもの時にしか書けない線」などと高く評価された。
入選した中島さんの作品は「ママあかちゃんたのしみだね」。家族が増えることを知り、姉になる喜びと誕生を心待ちにする思いを込めた。森田さんは「イヌとオレいったいどっちが大事やねん!!」と、愛犬をかわいがる妻への心の嘆きを、ユーモアたっぷりに表現した。
先月上旬に東京で表彰式があり、8日には4人の他、100選に認定された作品をたたえようと、和歌山市内で北原さんの教室主催の表彰式が行われた。北原さんは「『上手に書かなければならない』というものでなく、感じた思いを素直に筆で表現したことが、審査員の心を打ったのだと思います。大人が思いも寄らないすてきな言葉に出合えました」と話していた。